鳥インフルのウイルスが初めて南極大陸に到達、ペンギンへの感染を懸念
鳥インフルエンザのウイルスがついに南極にも到達し、初めて検出された。
2羽の鳥の死骸から検出
鳥インフルエンザのウイルス「H5N1」が2月23日、南極半島にあるアルゼンチンのプリマベーラ基地の近くで、トウゾクカモメ(skuas)と呼ばれる2羽の鳥の死骸から検出されたという。
また南極研究科学委員会のデータでは、やはり南極半島のホープ湾に生息する、チャイロオオトウゾクカモメ(brown skua)、オオトウゾクカモメ(south polar skua)、ケルプカモメでも、感染の疑いが報告されている。
南極本土で死んだ鳥はアルゼンチンの科学者によって発見され、デセプション島のスペイン南極基地にいる研究者に送られたそうだ。
2月25日に発表されたスペイン政府の報告書では「今回の発見は、南極を他の大陸から隔てる距離と自然の障壁にもかかわらず、高病原性鳥インフルエンザ・ウイルスが南極に到達したことを初めて示した」と述べられている。
南極大陸から離れた島で、最初に検出
「H5N1」ウイルスは最初に、南極大陸から約1600km離れたサウスジョージア島と、サウス・サンドイッチ諸島で検出されたという。
その後、フォークランド諸島でも検出され、当初はカモメ、トウゾクカモメ、アジサシなどの鳥類で報告されていたそうだ。
その後、アホウドリやペンギン、ギンフルマカモメ(southern fulmars)からも検出され、やがて哺乳類にも感染が広がり、ゾウアザラシやオットセイが大量死した。
またこのウイルスは北極の野生動物の個体群にも影響を及ぼし、昨年12月には、ホッキョクグマが「H5N1」で死亡したことが初めて確認されたという。
深刻な影響を受けやすいペンギン
「H5N1」型ウイルスは、恐らく渡り鳥を介して広がったと考えられ、南米に到達して以来、50万羽以上の海鳥がこの病気で死亡しているという。
また最も深刻な影響を受けているのは、ペンギンやペリカン、カツオドリとされている。スペインの南極基地で鳥の死骸を検査した研究者、Antonio Alcamí氏は、次のように述べている。
「残念ながら、おそらく(南極大陸にいる)ペンギンにも感染するのではないかと思われます。トウゾクカモメはかなり近くに生息しているため、感染の可能性はたくさんありますが、様子を見てみます」
昨年11月に発表された研究論文において、研究者たちは「ウイルスがペンギンのコロニー全体で大量死を引き起こし始めれば、最も大規模な生物学的災害の1つの引き金になる可能性がある」と指摘していた。(了)
出典元:The Guardian:Scientists confirm first cases of bird flu on mainland Antarctica(2/26)