北米で、ホッキョクグマとグリズリーの交雑種を追跡
北米の研究者らが、ホッキョクグマとグリズリー(ハイイログマ)の交雑種を調査し、その結果を発表した。
それぞれのクマのDNAを分析
研究者らは1975年から2015年の間に収集された古いクマのサンプルを、新開発のツールを使って調査し、これまで知られていなかった、ホッキョクグマとグリズリーの交雑種の例を探したという。
彼らはカナダ、アラスカ、グリーンランドのホッキョクグマ371頭と、グリズリー440頭のDNAを分析。
その研究結果は今月、科学誌「Conservation Genetics Resources」に発表されたが、新しいホッキョクグマとグリズリーの交雑種は見つからなかったそうだ。
そして今まで科学的に知られていた、カナダの北極圏に住む1頭のホッキョクグマのメスからなる家族が、唯一の交雑種であることが確認された。
交雑種の「グロラー」
そのホッキョクグマのメスは1989年に生まれ、その後、2頭のハイイログマと複数回交配し、4頭の子グマを生んだという。
その後、子グマの1頭も最終的に同じハイイログマのオスと交配し、さらに5頭の交雑種の子供を生んだそうだ。研究者は、この交雑種を「グロラー(grolars)」と呼んでいる。
そもそもホッキョクグマ(Ursus maritimus)は、数十万年前にハイイログマ(Ursus arctos horribilis)から進化し、遺伝的に非常に近い関係を保っているため、交雑種になることができると考えられている。
また最近まで、生息域が異なっていたため、この2種は隔絶されていたが、気候変動により海氷が減少し、ホッキョクグマの生息地が縮小しているため、この状況は変わりつつあるそうだ。
カナダ・マニトバ大学の博士研究員で、今回の研究論文の著者の1人であるルース・リブキン氏によると、研究結果は雑種化が依然として稀であることを示しているが、将来的にはより多くの例が見られると予想しているという。(了)
出典元:The Guardian:‘Grolar’ hybrid of grizzlies and polar bears remains rare in wild, study finds(6/20)