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最後のマンモスが消えた理由とは?疫病などで絶滅した可能性

最後のマンモスが消えた理由とは?疫病などで絶滅した可能性
flickr_Steve Jurvetson

かつて北極海の島に存在していた、最後のマンモス。その群れが絶滅した理由を探る研究が進められた。

 

マンモスのゲノムを分析

 

この研究を行ったのは、スウェーデンにある、古遺伝学センターの進化遺伝学者、Love Dalén教授が率いる研究チームだ。

 

彼らは、北極海に浮かぶロシア領の島、ウランゲリ島で見つかったマンモス(ケナガマンモス)の標本13体と、大陸で発掘された、以前の標本7体のゲノムを分析したという。

 

その結果、ウランゲリ島のマンモスのゲノムは、近親交配の兆候を示し、脊椎動物の免疫反応に重要な役割を果たす遺伝子を含め、遺伝的多様性が低いことがわかったそうだ。

 

ウランゲリ島に残されたマンモス

 

そもそもマンモスは、氷河期のヨーロッパ、アジア、北アメリカ北部の広大な地域を歩き回っていたという。

 

しかし約1万2000年前に地球の気候が温暖化し、人間の狩猟が脅威となると、マンモスは北へ移動。北極海にあるウランゲリ島にまで、到達したそうだ。

 

約1万年前になると、大陸にいたマンモスが絶滅。海面上昇により、ウランゲリ島にいた数百頭のマンモスは取り残されたが、その後6000年間も生き続けたという。

 

今回の研究でも、この島にいたマンモスは、ある時点で繁殖個体がわずか8頭にまで減少したが、その後20世代以内に200~300頭の個体群にまで回復し、最後まで安定した状態を保っていたことが確認されている。

 

にもかかわらず、この島にいたマンモスは突如、姿を消してしまう。

 

病原体に対して脆弱だった可能性

 

その理由について、これまでは近親交配による有害な遺伝子変異が、「ゲノム・メルトダウン(崩壊)」を起こし、絶滅したと考えられてきた。

 

しかし今回の研究では、免疫反応に重要な役割を果たす遺伝子などの多様性が失われていることが示され、マンモスの集団がペストや鳥インフルエンザなどの新しい病原体に対して、より脆弱であったことが示唆されたという。

 

ニューヨーク州立大学バッファロー校のヴィンセント・リンチ博士(今回の研究には携わっていない)は、次のように述べている。

 

「この発見はマンモスの最後の日々について新たな洞察を与え、遺伝的に弱体化した集団が、新しい病原体などの環境変化に対応できなかった可能性を提起しました」(了)

 

出典元:The Guardian:Freak event probably killed last woolly mammoths, scientists say(6/27)

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