チンパンジーも手を使ったジェスチャーで、素早くコミュニケーションをしている
チンパンジーのコミュニケーションの方法についての調査が進められ、手などを使いジェスチャーで素早く意思疎通を図っていることが示された。
252頭のジェスチャーを研究
そもそもチンパンジーは、手を使ったジェスチャーの豊富なレパートリーを持っており、例えば「やめて」や「ついてきてくれ」「毛づくろいをしてくれ」といった単純な要求を行っているという。
そのジェスチャーに関する規則についてさらに知るために、研究者らは東アフリカの5つの野生コミュニティに生息する、252頭の野生のチンパンジーから記録された8500以上のジェスチャーを研究した。
その結果、人間が交わす会話との驚くべき類似点、特にチンパンジーが交互に素早く反応する様子を発見したそうだ。
喧嘩の仲直り以外にも
例えば、ウガンダの「ブドンゴ自然保護フィールドステーション」で記録されたやり取りの1つでは、「モニカ」という名のチンパンジーが、口論の後に「ウルサス」という名の別のチンパンジーに向かって手を差し伸べると、ウルサスは安心させるように軽くたたいて応えたという。
これらのコミュニケーションのほとんどは短いものだったが、他のケースでは、チンパンジーが最大7回連続で手によるジェスチャーを交換したそうだ。
この研究に携わったセントアンドリュース大学・動物行動学の専門家、ガル・バディヒ博士は、「チンパンジーは生活のほぼすべての場面で手振りを使用します」と述べている。
またバディヒ博士によれば、喧嘩の後の仲直り以外にも、チンパンジーがジェスチャーを使って対立を避けたり、ハグやキスで挨拶したり、食べ物を分けてもらったり、一緒に旅をしたいか、別々の道を行きたいかを尋ねたりする様子を観察したという。
毛づくろいの時が最も多い
中でもジェスチャーが最も多く行われたのは、グルーミング(毛づくろい)の時だったそうだ。いくつかのグループでは、チンパンジーは大きな声を出し、ひっかくようなジェスチャーをしてから、お互いに毛づくろいを始めるという。
また毛づくろいの最中でも、チンパンジーはお互いの位置を変えようとしたり、別の場所で毛づくろいを始めるよう促したりする場合に、ジェスチャーで伝えることがあるそうだ。
さらに年齢の異なるチンパンジーの間での、ジェスチャーのやり取りのタイミングはほとんど変わらないが、異なるコミュニティ間では、人間に見られる微妙な文化的差異に似た、多少の違いがあったと言われている。
今回の研究では、人間と類人猿(チンパンジー)がコミュニケーションの基本的な特徴を共有していることが、示唆されたという。(了)
出典元:The Guardian:Chimpanzees communicate in similar quick-fire fashion to humans, study shows(7/22)