マリアナ海溝で確認されたミステリアスな音、ついに謎を解明
日本の近海にあるマリアナ海溝で以前、奇妙な音が確認され、その謎が解明されたという。
2014年に謎の音を検知
研究者らは2014年、世界で最も深いマリアナ海溝で音響調査を行っていた際、ミステリアスな音を検知したという。
その音は、「biotwangノイズ」と呼ばれ、奥深くとどろくような音と、SF映画に出てくる宇宙船のような、高音の金属音で構成されていたそうだ。
当初、研究者はシロナガスクジラやザトウクジラなどの大型のクジラの声である可能性を考えていたが、謎の音は、どのクジラの声とも一致しなかったという。
AIで20万時間に及ぶ音声記録を整理
しかし9月18日に科学誌「Frontiers in Marine Science」に発表された論文の中で、研究者らは、謎の音がニタリクジラ(Bryde’s whales)の声であると明らかにした。
研究者らは以前、マリアナ諸島付近で10頭のクジラ類が泳いでいるのを発見。そのうち9頭が特徴的な音を立てているのを記録し、ニタリクジラが謎の音の原因ではないかと疑ったという。
その後、研究チームはAIを使い、海の音を含む20万時間に及ぶ長年の音声記録を整理し、クジラの音とその他のノイズを区別し、振り分けたそうだ。
その結果、謎の音が、ニタリクジラの鳴き声であることを突き止めた。
Imagine being able to say, “Hey, Google: Find this whale sound.”
Our scientists were able to use Google AI and machine learning to sort through *thousands* of hours of acoustic recordings to identify a whale call! They found it came from Bryde’s whales: https://t.co/1T1NFt3oaK pic.twitter.com/wENTPazUIF
— NOAA Fisheries (@NOAAFisheries) September 19, 2024
北西太平洋のみで聞こえる
また研究者らは、謎の音の発生と、この種のクジラの移動パターンを照合しており、ニタリクジラがはるかに広い範囲を旅しているにもかかわらず、謎の音が北西太平洋でのみ聞こえることも判明したという。
しかも、特定のクジラの集団だけが、この音を立てていることが示唆されたそうだ。
今回得られたデータでは、エルニーニョ現象による海水温の上昇により、この海域を訪れるニタリクジラの数が増加した2016年に、謎の音が急増したことも示された。
もっともなぜ、ニタリクジラがこのような鳴き声を発するのかは、明らかになっていない。ただお互いの位置を知らせ、連絡手段として、鳴き声が使われている可能性が指摘されている。(了)
出典元:Livescience:Creepy ‘biotwang’ noises coming from the Mariana Trench finally explained after 10 years(9/20)