タコが魚と協力して集団で狩り、しかもリーダーシップも発揮
ドイツの研究者らが、タコとさまざまな魚がどのように協力し、狩りを行っているかについて調査し、驚くべき発見をした。
100時間以上の映像素材を分析
この研究を主導したのは、ドイツのコンスタンツ大学と、マックス・プランク動物行動研究所の専門家たちだ。
彼らはイスラエルやエジプトの紅海沖や、オーストラリアのグレート・バリア・リーフなどに潜り、多くのカメラを使ってタコの生態を撮影。
その映像を3Dビューで再現し、合計100時間以上の映像素材を分析したという。その結果、タコ(cyanea)が他の魚と共同で狩りをしていることが明らかになった。
タコがリーダーシップをとる
研究者が13に及ぶ狩猟グループを観察した結果、魚はガイドの役割を果たし、獲物を見つけてタコにその位置を知らせ、タコは柔軟な腕を使って隠れた獲物を捕まえていたという。
特にヒメジ(goatfish)という魚は探索を担当し、狩猟集団の方向を決定するが、タコは群れの移動のタイミングと、狩りの開始を決定するなど、リーダーシップを発揮していたそうだ。
これらの共同作業で、魚はタコの拡張された感覚システムとして機能し、より広い範囲をカバー。獲物の検出効率を高め、タコのエネルギーを節約させ、魚も同時に手の届かない獲物を獲得することができるという。
またタコは他のグループのメンバーによって獲物が取られるなどした場合、それらの魚をパンチするなど攻撃を加え、事実上のリーダーとしての地位を強化していたそうだ。
そして実際、タコや魚が単独で行動する場合に比べて、共同で狩りをする方が、より成功につながることも示唆されたという。
今回の研究に携わった生物学者のエドゥアルド・サンパイオ氏は「これらの結果は、自然界の社会的相互作用の複雑さと適応性を強調し、リーダーシップと社会性についての私たちの理解を広げます」と述べている。(了)
出典元:Max Planck Institute of Animal Behavior:Unlocking the secrets of multispecies hunting(9/23)