ケガをしたクシクラゲが別の個体と融合、神経系や胃が結合し1つになる
偶然、2匹のクシクラゲが融合し、1つの個体になっていることが初めて確認され、驚きの研究結果が発表された。
1匹がおらず、残りが大きくなっていた
この研究を行ったのは、イギリス・エクセター大学、そして日本の自然科学研究機構の研究員である、城倉圭氏らの研究チームだ。
彼らは「イボクシクラゲ(Mnemiopsis leidyi)」の研究を行っていた際、水槽の中にいた2匹のうち、1匹がいないことに偶然、気づいたという。
しかも水槽に残っていたクシクラゲを見ると、かなり大きくなっていたことが判明。そこで調べてみたところ、2匹が融合し、両者に分離がないことが明らかになったそうだ。
神経や胃も完全に融合していた
研究者たちは、融合した原因がクシクラゲの負傷にあると見て、20匹の個体から体の小さな部分を取り除き、それらを互いにペアにすることで、融合プロセスを再現したという。
するとペアのうちに9組が融合を行い、多くのペアが24時間以内に完全に結合したそうだ。
しかも、融合してから2時間以内に、研究者がクラゲをつついて刺激したところ、体全体が反応し、神経系が完全に同期していることも実証されたという。
さらに研究者が融合したクラゲに、蛍光色のエビを摂取させたところ、1匹の口から入ったエビが、両方の胃を通過していることも明らかになった。
Our latest paper is out @CurrentBiology !
About #ctenophore fusion!!
Fused ctenos synchronized muscle contractions and shared their digestive canal! @AnttonenTommi @maruca221@omasvc @grassfoundation @MBLScience pic.twitter.com/T0HuEcTqxS— Kei Jokura (@Ctenophore18) October 7, 2024
本来の「クラゲ」ではない
クシクラゲは「クラゲ」と名前がついているが、実際には本来のクラゲではなく、毒針を持っていないという。また本来のクラゲが刺胞動物に分類されるのに対し、クシクラゲは有櫛動物のグループに属すると言われている。
そしてクシクラゲは「櫛板」と呼ばれるキラキラした運動器官を持っており、それを使い海の中を泳いでいるそうだ。
城倉氏によると、融合したクシクラゲは1つとして振舞うが、別々のDNAを持っているため、単一の生物とは言えず、「独特の形態」を次世代に伝えることもできないという。
このため研究者たちは発表された論文の中で、融合した個体を「単一の実体」と呼んでいる。(了)
出典元:Livescience:Scientists accidentally find deep-sea ‘jelly’ creatures merged into ‘single entity’ after injury, revealing bizarre new behavior(10/8)