ミステリアスな高速電波バースト、ありえない遠くの銀河から検出
天文学者たちが、遠く離れた古代の銀河から、高速で繰り返される電波パルスを検出したという。
遠くの死んだ銀河から発生していた
高速電波バースト(FRB)とは、数ミリ秒以下の短い時間に、電波パルスが繰り返し発せられる現象とされ、これまで原因は、若い中性子星が形成時に、大量のエネルギーを消費することと関連づけられてきたという。
しかし1月22日に発表された研究論文において、研究者は、遠くの死んだ銀河から電波バーストを検出したと明らかにした。
死んだ古い銀河には、若い星は含まれていないはずで、この種類の信号を生成するエネルギーもないはずだと考えられ、謎が深まっている。
位置を特定し、周辺の領域を撮影
そもそも研究者たちは、FRBは非常にエネルギーが強いため、新しい星が活発に形成されている銀河の領域内で発生すると考えてきたという。
しかし今回検出された高速電波バースト「FRB 20240209A」は、古くて死んだ星だけを含む楕円銀河の外側に位置していたそうだ。
今回の研究を進めたのは、カナダ・McGill大学の物理学部及び、Trottier宇宙研究所の博士課程の学生であるVishwangi Shahさんと、その研究チームだ。
彼女らは電波干渉計「CHIME(カナダの水素強度マッピング実験)」を使用して、同じ場所から発生した複数のバーストを検出。「CHIME」 に似た小型の望遠鏡と組み合わせて FRBの位置を特定したという
またハワイのジェミニ北望遠鏡を使用して、FRB周辺の領域を撮影。ジェミニの画像により、FRBの近くには他の銀河はなく、これが確かに死んだ銀河と関連していることが確認された。
研究論文によると、電波パルスを検出した古代の楕円銀河は、地球から約20億光年離れており、年齢は約113億年だという。
Vishwangi Shahさんは「この特定のFRBは本当に異常で、FRBを発生させるものについての私たちの理論に、疑問を投げかけるものです」と述べている。
Shahさんによれば、2007年に天文学者が初めて発見して以来、何千もの電波バーストが記録されているが、そのうち正確な位置がわかっているのは、わずか100個ほどだという。(了)
出典元:ABC News:Astronomers discover repeating radio bursts from distant ‘dead’ galaxy(1/24)