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始祖鳥がなぜ飛べるようになったのか?科学者がその特徴を発見

始祖鳥がなぜ飛べるようになったのか?科学者がその特徴を発見
Field Museum/Delaney Drummond

非常に保存状態の良い始祖鳥の化石の分析が進められ、なぜ飛行できるようになったのか、新たな知見が得られた。

 

CTスキャンと紫外線照射で境界を示す

 

この調査を進めたのは、アメリカ・シカゴにあるフィールド博物館などの研究チームだ。

 

彼らは博物館に保管されている、非常に保存状態の良い始祖鳥の化石をCTスキャンと紫外線照射にかけ、化石と岩石の境界を正確に浮彫りにすることができたという。

 

そして1年以上かけて1ミリメートル未満の精度で、岩石を慎重に削り取り、より完全な始祖鳥の姿を明らかにしたそうだ。

 

羽毛を使って飛ぶことができた最古の恐竜

 

その結果、上腕骨の翼にある「三列風切」と呼ばれる羽毛を発見。これが始祖鳥の飛翔を可能にした進化的変化だったと結論付けた。

 

今回の分析を主導したフィールド博物館のジンマイ・オコナー博士は、次のように述べている。

 

「始祖鳥は羽毛を持つ最初の恐竜でも、『翼』を持つ最初の恐竜でもありません。しかし、羽毛を使って飛ぶことができた最古の恐竜であると考えられます。これらの羽毛は、鳥類に近縁ではあるものの、完全に鳥類ではない羽毛恐竜には見られません。彼ら(恐竜)の翼の羽毛は肘のところで止まります。このことは、非鳥類型恐竜が飛べなかったが、始祖鳥は飛べたことを示しています」

 

Nature

恐竜の特徴をもつ始祖鳥

 

始祖鳥の化石は160年前、ドイツの採石場で最初に発見され、化石に羽毛が見えたことから、すぐに最古の鳥類の候補となったという。

 

しかし現代の鳥類とは異なり、始祖鳥属は鋭い歯を持つ顎、長く骨ばった尾、そして「キリングクロー」として知られる超伸長性の第二指など、恐竜に似た特徴もいくつか持っている。

 

また始祖鳥が飛行できるようになった特徴として、科学者は以前から始祖鳥には、羽毛恐竜とは異なり、羽毛の中央の軸の片側がもう片側よりも広い(左右非対称である)ことを発見していたという。

 

これは現代の鳥類にも見られる特徴で、飛行中の推進力を生み出すために不可欠とされ、今回はそれに加え、飛翔のためのもう1つの重要な特徴が発見された。

 

翼と体の間に隙間ができてしまう

 

今回見つかった特徴について、オコナー博士は、次のように述べている。

 

「現生のほとんどの鳥類と比較して、始祖鳥は非常に長い上腕骨を持っています。もし飛ぼうとすると、上腕骨が長いと、翼の長い初列風切や次列風切と、体の残りの部分との間に隙間ができてしまいます。その隙間を空気が通ってしまうと、せっかく生み出している揚力が阻害され、飛べなくなってしまうのです」

 

イギリス・マンチェスター大学古生物学の上級講師で、今回の研究には関わっていないジョン・ナッズ博士も、次のように述べている。

 

「これらの羽毛(三列風切)が初めて確認されたことは重要です。美しく保存されたこの標本に見られる新しい羽毛、そして左右非対称の羽毛は、この鳥が飛べたことを裏付けています」(了)

 

出典元:The Guardian:Feathered fossil provides clues about how earliest birds first took flight(5/14)

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