人類は2万年前からクジラの骨で道具を作っていた!

最近発表された研究において、人類が遥か昔から、クジラの骨を使って道具を作っていた可能性が示された。
1世紀前に発掘されていた骨
5月27日に科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された新たな研究によれば、そのクジラの骨は1世紀以上前、スペインとフランスに近いビスケー湾で行われた発掘調査で発見されたという。
その骨は細く、投擲用に加工されていたが、多くのものが小さな破片だったため、年代を特定するのは困難だったそうだ。
しかし最新の技術を使って分析した結果、そのクジラの骨が約2万年前のものだと判明。しかもこれらの骨がシロナガスクジラやナガスクジラ、マッコウクジラなどのものであることも発見したという。


クジラを狩っていたわけではない
実は、これまでも5000年前に人類がクジラの骨を使って、道具を製作していた証拠は見つかっていたが、今回、それよりもさらに古くから作っていたことが明らかになった。
もっともこの研究論文の著者で、フランス国立科学研究センターのJean-Marc Petillon氏によれば、古代の人類は必ずしもクジラを狩っていたわけではないという。
むしろ、古代の人類は打ち上げられたクジラの死骸を漁り、密度が高く重い骨を道具に加工して、トナカイやバイソンを狩っていた可能性が高いそうだ。
また研究者たちは、古代人類が北極や南太平洋などを含めた複数の場所で、クジラの骨から道具を作っていたと考えている。
ただ研究者によれば、その後の海面上昇によって世界中の海岸線が破壊されたため、今回のような証拠を見つけることは困難だという。
Petillon氏は「これは、これほど遠い昔においても、人類にとって沿岸環境が重要であったことを示す新たな証拠だ」と述べている。(了)
出典元:ABC News:Scientists date the oldest known tools made from whale bones to 20,000 years ago(5/28)