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火星の岩石に有機物の痕跡か?古代の微生物である可能性:NASA

火星の岩石に有機物の痕跡か?古代の微生物である可能性:NASA
NASA JPL

昨年、火星で見つかった岩石が調べられ、有機物の痕跡が含まれている可能性が明らかにされた。

 

「生命の最も明確な兆候である可能性」

 

その岩石は2024年、火星のネレトバ渓谷の北端にある、ブライトエンジェル層と呼ばれる場所で、探査ローバー「パーサヴィアランス」により発見されたという。

 

その後、「パーサヴィアランス」に搭載された機器が、岩石中に炭素系化合物の痕跡を検出。さらに撮影された画像には、表面に興味深い斑点や塊が映っていたそうだ。

 

9月10日に「ネイチャー」誌に掲載された研究論文の中で、研究者たちは次のように述べている。

 

「我々の分析の結果、ブライトエンジェル層には、『潜在的な生命の痕跡』として検討に値するものに、化学的・鉱物的特性、そして有機的な特徴が含まれていると結論づけました」

 

またNASAのショーン・ダフィー長官代行も9月10日、ワシントンD.C.のNASA本部で行われた記者会見で、「これは火星で、これまで発見された生命の最も明確な兆候である可能性が高い」と述べた。

 

NASA JPL

「ビビアナイト」や「グレイジャイト」の集積

 

火星は現在、乾燥した惑星のように見えるが、その表面には古代の河床や湖底の跡が点在しており、古代はより温暖で湿潤な環境だったことが示唆されている。

 

そのため生命が火星に存在していたのであれば、その痕跡は有機物、あるいは化石化した生物として岩石中に見つかるかもしれない。

 

この研究論文の筆頭著者であるジョエル・ヒューロウィッツ博士(ニューヨーク・Stony Brook大学の地球化学者・惑星科学者)によれば、今回見つかった岩石は、鉄リン酸塩鉱物の「ビビアナイト(vivianite)」や硫化鉄鉱の「グレイジャイト(greigite)」などの鉱物の集積だという。

 

地球上では微生物の活動によって生成

 

そもそも地球上では、微生物が有機化合物を消費し、代謝の副産物として「ビビアナイト」や「グレイジャイト」などの鉱物を生成する場合があるそうだ。

 

そして火星で見つかったこれらの鉱物も、ブライトエンジェル層の泥と、その中に存在する有機物との反応によって形成されたものと考えられるという。

 

しかしこれらの鉱物が作られる過程は他にもあり、生物学的プロセスが存在しない状況でも、化学プロセスにより同様の反応を引き起こす可能性があるため、まだ微生物の確実な証拠とは言えない。

 

そのため研究者らは、採取されたサンプルを地球に持ち帰り、分析する必要があると考えている。

 

ただアメリカのトランプ政権は、NASAの予算を大幅に削減しており、このような分析を可能にする「火星サンプルリターンミッション」も中止に追い込まれたという。(了)

 

出典元:The Guardian:Unusual compounds in rocks on Mars may be sign of ancient microbial life(9/10)

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