フランス沖の海底で、紀元前5000年頃の巨大な壁を発見

フランスの海洋考古学者たちは、北西部の海底で、人間によって作られたとみられる古代の壁を発見した。
新石器時代に作られた可能性
その壁が発見されたのは、フランス北西部ブルターニュ地方の西端にある、サン島(Ile de Sein)の海底とされている。
この壁の長さは120m、平均の幅は20m、高さは2mとされ、フランスで発見された水中建造物としては最大級になるという。
海洋考古学者らは、この壁が紀元前5000年、新石器時代に作られた可能性があると見ており、この社会は海面上昇によって消滅したと考えられている。

魚を捕る罠か、堤防だった可能性
この壁の目的だが、魚を捕獲するための罠か、海面上昇から身を守るための堤防だった可能性が指摘されている。
建設当時、この壁は海岸線、つまり満潮と干潮時の間の場所に建っていたとみられるが、現在は海面上昇によって島の大きさが縮小したため、水深9mの海底にあるという。
壁の上には2列に並んだ巨大な花崗岩の立石(モノリス)があり、もし魚の罠説が正しいとすれば、突出したモノリスの列は、潮が引いた時に魚を捕獲するための棒や枝で作られた「網」を支えていたことになるそうだ。
総重量3300トンにも及ぶこの壁は堅牢で、大規模な定住社会によって築かれたに違いなく、考古学者のYvan Pailler氏も、次のように述べている。
「これは、定住するようになった、非常に組織化された狩猟採集民社会によって築かれたものです。あるいは、紀元前5000年頃にこの地に到来した、新石器時代の人々によって築かれたのかもしれません」
またモノリスが、ブルターニュ地方の他の場所でも発見されているため、Pailler氏によると、石材の採掘、切断、輸送に関するノウハウが、中石器時代の狩猟採集民と、新石器時代の農耕民の間で伝承されていた可能性があるという。
2022年の夏に最初の調査
この壁は地元の地質学者、Yves Fouquet氏が最新のレーダー技術を用いて、海底深度図を作成した後に発見された。
考古学者たちは2022年の夏に最初の調査を行ったが、壁の正確な地図を作成できたのは、海藻が枯れる翌年の冬まで待たなければならなかったという。
研究者たちは、このような遺跡が、ブルターニュ地方に伝わる沈没都市伝説の起源であると推測している。(了)
出典元:BBC:Huge undersea wall dating from 5000 BC found in France(12/11)


























