ラオスに存在してきた巨大な謎の石壺、新たな15の遺跡から137個も発見
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オーストラリア国立大学(Australian National University)などの研究者らが、ラオスで15の新たな遺跡を発見し、死者の埋葬に使われていたと思われる大きな石壺を数多く確認した。
長い間、謎とされてきた石の壺
このラオスの石壺は考古学的に長く議論が続いている謎の1つとされ、約1000年前のものと考えられている。
専門家は、この石壺が石棺などのような遺体の埋葬に関連するものと考えているが、本来の目的や誰が大きな石を運んだかなどについては、全く分かっていない。
そして今回、新たな15の遺跡から100以上の石壺を発見したが、これにより以前考えられていたよりも、広範囲に運ばれ、分布していることが示されたという。
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重さは数トンのものも、奥地で発見
新たに発見された遺跡(サイト)はラオスの奥地、山に囲まれた森の中にあり、オーストラリア国立大学のPhDの学生、Nicholas Skopalさんとラオス政府から派遣された職員によって確認され、合計で137個の石壺が見つかっている。
またオーストラリア国立大学の考古学者、Dougald O’Reilly博士によれば、石壺と思われるものの中には重さが数トンに及ぶものがあり、採石場で切り出され、現在ある場所へ数キロ離れた地点から運ばれた可能性があるという。
しかしなぜ、この遺跡のある場所は石壺の最終目的地として選ばれたのか、その理由は依然謎のままだとか。Skopal氏は次のように語っている。
「これらの新しいサイト(遺跡)は、トラ狩りをするハンターぐらいしか訪れない場所で、今回私たちが再発見しました。私たちは(昔の人が)どのように遺体を処理していたのか、またこの文化について、明確な姿が描けることを願っています」
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遺跡からは鉄器時代の遺物も発見
また今回の発掘では、石壺の周りに墓標のような美しく彫刻された円盤状のものが見つかっており、興味深いことに彫刻された面が伏せられた状態で埋められていたという。
さらに今まで発見された円盤状のものには、同心円や鞍頭、人間や動物の姿なども描かれていたそうだ。
しかし石壺がある場所で、このような円盤が見つかったのは比較的稀で、なぜいくつかの円盤に動物が描かれているのか、または他の物が幾何学模様なのか、といった理由も分かっていない。
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同時にこの遺跡からは鉄器時代の典型的な工芸品、例えば装飾された陶器やガラスのビーズ、鉄の道具、耳に飾られていた円盤状のもの、糸をつむぐときに使う道具(spindle whorls)も発見されているという。
今回見つかったものの中には、粘土でできた縮小サイズの壺も多く発見されており、またインド北東部のアッサムやインドネシアのスラウェシでも、似たような巨石文化の壺が見つかっているそうだ。(了)
出典元:Australian National University:More mysterious jars of the dead unearthed in Laos(5/15)