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脳から脳へ情報を送り、3人が意思疎通することに成功:ワシントン大学

脳から脳へ情報を送り、3人が意思疎通することに成功:ワシントン大学

アメリカの大学で研究チームが、脳だけで情報をやり取りする「脳間インターフェース」の技術を開発し、実験を行った。

 

この実験の結果は4月16日に学術誌「Nature」において発表され、昨年9月にも投稿論文サイト「arXiv」で公開されており、当時は多くのメディアからも注目を浴びたため、すでにご存じの方もいるかもしれない。

 

ただ今回、大学からリリースが発表され、より具体的な内容が明らかになった。

 

「テトリス」のようなゲームで実験

 

人間が脳で考えることで情報を送受信するシステムは「BrainNet」と呼ばれ、すでにワシントン大学などの研究チームによって開発されていたものだ。

 

今回の実験では「BrainNet」を使い、複数の被験者によって脳だけのやりとりで「テトリス」のようなゲームを行ってもらったという。

 

その結果、高い確率で意思疎通を図ることに成功した。これは2人以上の脳のネットワークが作れること、また脳だけを使い情報を送ったり受け取ったりすることができることを示した、初めての実験になるそうだ。

 

University of Washington
University of Washington

5組のグループが16回ゲームを行う

 

「テトリス」のようなゲームでの実験では、2人の情報の「送信者」だけが、ブロックや最下部の列(ライン)を見ることができ、実際にゲームをコントロールできない設定になっているという。

 

そして3人目の人間、情報の「受信者」は、ブロックだけは見ることができ(最下部の列を見ることはできない)、それを回転させるかどうかの指示が出せるようになっている。

 

2人の「送信者」はブロックを見て回転させるかどうかを決め、その後インターネットを通じて自らの脳から、「受信者」の脳へと情報を送信。

 

その後、「受信者」は情報を処理し、ブロックを回転させるかどうかのコマンドをコンピューターへ送り、ブロックを一列に並べる。

 

研究チームはこの設定で、5組のグループに16回ゲームを行ってもらった。無論、それぞれのグループの3人は、声を聞くことも話すこともできない全く別の部屋にいたという。

 

University of Washington

送信者が「YES」か「NO」を選択

 

ゲームでは情報の「送信者」は、コンピューターのスクリーンに映し出されたゲームを見ることができ、スクリーンの両側には「YES」と「NO」が表示されている。

 

「YES」を選ぶと1秒間に17回LEDライトが瞬き(17Hz)し、「NO」を選ぶと1秒間に15回(15Hz)瞬くようになっているそうだ。

 

そしてブロックを回転させるかどうかを決めた時、送信者はLEDライトに集中することにより、「受信者」の脳に「YES」または「NO」を送るという。

 

情報の「送信者」も「受信者」も、脳の活動を計測するヘッドギア(脳波測定)をつけており、「送信者」が点滅したLEDライトの異なったパターンを見ると、それぞれ別の活動を脳に引き起こす。

 

実際、「送信者」がライトを見つめると、ヘッドギアが脳のシグナルを受け取り、望んだ選択肢に向かって動いていくカーソルを示すことによって、コンピューターがリアルタイムでフィードバックを提供(意見・命令を実行)していく。

 

その後、このような選択は「YES」か「NO」に変換され、インターネットを通じて、情報の「受信者」へ送られるそうだ。

 

University of Washington

「YES」なら受信者の目に光が浮かぶ

 

情報を伝えるために研究チームは、「受信者」の頭の後ろに小さなラケットのような装置を置き、そのコイルが「受信者」の脳のある部分を刺激して、目からのシグナルに変換されるという。

 

つまり研究チームは「受信者」の脳の後部にあるニューロンを刺激し、これにより情報の「受信者」は目の前に突然、明るい弧や物体が現れるような感覚が与えられるそうだ。(眼閃:電気的及び磁気的な刺激を与えることで視覚系ニューロンが反応。目を閉じていても光などが見える)

 

そして送られてきた情報が「YES」なら「受信者」は明るい光を見ることができ、「NO」ならば何も見えない状態となる。

 

その上で「受信者」も「送信者」と同じように、回転させるかどうかについて、「YES」か「NO」を選択し、実際にゲームを行ってきたという。

 

この結果、それぞれのグループの平均の成功率は81%(81.25%)。16回のゲームのうち、13回でブロックを正しく並べることに成功したという。

 

研究チームは今回の結果が、1人の脳では解決できない問題を人々が協力して解決できるようになる、未来の「脳と脳とのインターフェース」への道を開くことになるのを期待しているそうだ。(了)

 

 

出典元:University of Washington:How you and your friends can play a video game together using only your minds(7/1)

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