古代エジプトのすごろくゲームは、死後の旅を表していた
米国・バラ十字古代エジプト博物館(Rosicrucian Egyptian Museum)に、古代エジプトのボードゲームが所蔵されている。
一般公開されていないこのゲーム盤を調査したオランダ・マーストリヒト大学の考古学者が、これまでにない発見をし、学術誌「Journal of Egyptian Archaeology」に論文として発表した。
古代エジプトには、現代のすごろくに似たボードゲームがあり、初期にはただの娯楽だったが、今回調査したゲーム盤を境にして、それ以降のものは「死後の旅」を意味する霊的なゲームになっていったという。
サイコロを振り、5つの駒を進める
論文を発表したWalter Crist教授によれば、古代エジプトにあったボードゲームは、10×3のマス目の端から駒をスタートさせ、サイコロの数だけ進めてゴールを目指すというもの。2人の対戦者がめいめい5個の駒を持ち、自分の駒5個全部をいち早くゴールさせた方が勝ちとなる。
ボードのデザインには変遷があり、エジプト古王国(紀元前2686年頃〜)から末期王朝(紀元前664年〜332年頃)までの数例が、これまでの研究から分かっている。(論文中の図A〜E)
図形やヒエログリフ(聖刻文字)が描かれているマス目は、「一回休み」や「振り出しに戻る」など、何か特別な役割があったと考えられている。
初期のボードの特別なマス目には、シンプルな線や図形、バツ印などが描かれているが、後期になって霊的な意味合いが強くなると、そこに死後の魂を象徴する「鳥」のヒエログリフが登場する。
現生と死後を隔てる「水」
発表された論文によれば、バラ十字古代エジプト博物館に所蔵されているゲーム盤に「鳥」のヒエログリフは描かれておらず、従来なら「×」印が描かれるマス目に、代わりに「水」を表すヒエログリフがあったとのこと。
古代エジブトでは、冥界(Duat)を旅する魂は川や湖に行き着くと信じられており、「水」のヒエログリフはそれを表しているとCrist教授は考える。
また、図形やヒエログリフが描かれたマス目の位置や、スタートとゴールの位置などを考えあわせると、このゲーム盤は「死後の旅を象徴するものが、目に見える形で表現された最初のボード」と言っていいそうだ。(了)
出典元:Science:Is this the original board game of death?(2/6)
出典元:Mail Online:Ancient Egyptian ‘board game of death’ similar to Ludo was used to talk to deceased players in the afterlife 3,500 years ago(2/7)