神経症状は“レッドフラグ”?新型コロナウイルスの恐ろしい症状が明らかに
季節性インフルエンザと大して変わらず、若者や持病のない人が重症化する可能性は低い–。
当初はそんな説が流布されていたものの、被害が深刻になるにつれその危険度が明らかになってきた新型コロナウイルス。
そんな新型コロナウイルスが人間の脳や神経にも損傷を与える可能性を示す新たな研究が発表され、注目を集めている。
4割近くが神経症状発症、重症の人ほど深刻な症状出やすく
この新たな研究を発表したのは、中国・湖北省武漢に位置する華中科技大学の神経学者Bo Hu氏率いる研究チーム。研究報告は医療ジャーナル「JAMA Neurology」に掲載された。
研究においては、新型コロナウイルス感染症に罹患し、1月16日から2月19日の間に武漢の3つの病院のいずれかに入院していた214人の患者を調査。
すると約36%の患者が、何らかの神経症状を経験していることが明らかになったという。
さらに研究者は患者の神経症状を中枢神経症状、末梢神経症状、そして骨格筋の損傷の症状の3つに分類し、神経症状がみられる患者においてどのような症状が発現しているか調べた。
尚これら神経症状の具体的なものとしては、中枢神経症状にはめまいや頭痛、意識障害、急性脳血管障害、運動失調、脳卒中やてんかんの発作、そして末梢神経症状には味覚障害や嗅覚障害、視覚障害、神経痛が含まれる。
すると頭痛は13%、めまいは約17%、筋肉の炎症と神経痛は約19%の患者に発症していることが判明したという。
また新型コロナウイルス感染症の程度が重度になるほど神経症状もより起こりやすくなり、さらには思考の混乱やてんかんや脳卒中といったより深刻な症状が現れやすくなるという。
何らかの神経症状がある場合は新型コロナを疑うべき
しかし、この結果は一体何を意味するというのだろうか。
今回の研究を発表した研究者らが指摘するのは、新型コロナウイルスが世界を席巻する中、何等かの神経症状を持つ患者に対しては新型コロナウイルス感染症に罹患している可能性を疑った方が良いということだ。
それは結果的に診断の遅れや誤診、患者の死亡を防ぐと共に、新型コロナウイルスのさらなる拡散を防ぐことにもつながるという。
「それは神経科医とかかりつけ医に対する警告でありメッセージだ。たとえ熱や咳、その他全ての症状がなくとも、味覚障害や嗅覚障害、筋肉障害といった症状のみを持つ患者が訪れた場合、新型コロナウイルスが存在がする可能性があることを検討すべきだ」
今回の研究結果についてこう語るのは、米国ニューヨーク・クイーンズ区の大学病院Long Island Jewish Forest HillsのRohan Arora氏だ。
さらに米国イリノイ州・シカゴのノースウェスタン大学ファインバーグ医学院のIgor Koralnik氏は、研究で挙げられた数々の神経症状について“レッドフラグ”であるという。
「それは患者が持つ初期症状であるかもしれず、家庭内の全ての人から隔離することが賢明だ。なぜならその時には感染させてしまう可能性があるからだ」
神経症状のみの発症でも、新型コロナウイルスに感染している可能性があることを示唆することとなった今回の研究。
現在日本も含めた多くの国では、新型コロナウイルスへの感染が疑われる症状があっても検査すらままならない状況であるが、もし感染の可能性が疑われる症状が現れた際には、せめて他の人にうつしてしまわないよう自己隔離を徹底したいところだ。(了)
出典:Daily Mail:Coronavirus ‘harms the brain and nervous system of HALF of severely ill patients and a third of all cases’ — causing symptoms such as stumbling, slurred speech and seizures(4/10)
出典:HuffPost:Coronavirus May Also Cause Neurological Symptoms, Like Headaches(4/13)
出典:Medical Dialogues:40% of severe Covid 19 patients may have neurological symptoms: JAMA(4/12)