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新型コロナウイルスは蚊によって伝播していくのか?パデュー大学

新型コロナウイルスは蚊によって伝播していくのか?パデュー大学
flickr_John Tann

これから暑い季節を迎える日本。動物も活動し始め、蚊などの虫も多く発生する。

 

そして現在、新型コロナウイルスの感染が拡大しているなか、気になるのがこのウイルスが蚊などを介して人間に感染するのかという点だ。

 

感染した人の血液にも低レベルしかない

 

現在、世界中の研究者が、新型コロナウイルスの蔓延に関して、蚊がリスク要因になるのかを調べているという。

 

そもそも新型コロナ(SARS-CoV-2)は、鼻水や咳を通し、またはウイルスに触れた手で顔などを触ることで、感染すると言われている。

 

しかし感染した人の血液の中には、低レベルのウイルスしか見つかっていない。このことから蚊に刺されて新型コロナに感染する証拠は、今のところないそうだ。

 

コロナウイルスは蚊によって運ばれない

 

この研究を進めているアメリカ・パデュー大学の昆虫学を専門とするCatherine Hill教授は、大学のリリースにおいて次のように述べている。

 

「まだ初期の段階ですが、私たちはリスク・マネジメントや、評価を展望する観点から物事を見ています。しかし私は、(蚊が新型コロナウイルスを運ぶ)リスクは低いと考えています」

 

新型コロナウイルスは SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)といったコロナウイルスの仲間に属しており、それらは蚊を通して感染することはないという。

 

確かに、デング熱やジカ熱のウイルスは蚊を媒介にして感染していくが、蚊はHIVやエボラ出血熱、コロナウイルスなど全てを運ぶわけではないそうだ。

 

蚊によって感染していく仕組み

 

通常、蚊は感染した人の血を吸い、ウイルスを獲得する。やがてウイルスは蚊の腸(中腸)を通って、唾液腺を感染させていく。そこでウイルスが複製され、別の人間を刺した時に、相手に感染させるという。

 

この全体のプロセスは10日から14日かかるとみられ、その間にウイルスは物質的・生理学的な関門を乗り越えなければならない。

 

しかしコロナウイルスの仲間には、これを達成できたという生物学的な証拠がないそうだ。

 

南半球でも蚊による感染の事例はなし

 

さらにHill教授は、南半球の状況を指摘。このエリアでは現在、季節は夏から秋へ向かおうとし、蚊の発生のピークを迎えている。

 

しかしニュージーランドやオーストラリアも多くの蚊が発生しているが、蚊がCOVID-19を運ぶという証拠を目にしてはいないそうだ。

 

その一方、日本では先日、山梨県内の20代の男性が新型コロナウイルスによって、髄膜炎を発症するという例が報告されている。男性は脳脊髄液のPCR検査で陽性と分かったという。

 

脳脊髄液は脳室内とくも膜下腔、脊髄くも膜下腔などに存在する透明な体液だ。これは脳内を巡り、やがて静脈系に吸収される。

 

この男性患者を治療した山梨大学はその後、新型コロナウイルスが肺炎だけでなく、髄膜炎も引き起こすことを世界で初めて論文で報告した。

 

まだ新型コロナウイルスがどのように髄膜炎を引き起こすのか、そのメカニズムなどは詳しく分かっていないようだが、これはウイルスが体液や血液を巡って他の病気を引き起こす可能性を示した例だと考えられている。

 

Hill教授も、新型コロナに関しては絶えず情報が更新されているため、今後も世界保健機関(WHO)の資料や情報に注目するよう警鐘を鳴らしている。(了)

 

 

出典元:Purdue University:It’s extremely unlikely mosquitoes can transmit COVID-19 according to entomology professor(4/21)

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