オックスフォード大とロシアのワクチンを組み合わせた臨床試験を実施へ
イギリスのオックスフォード大学などが開発した新型コロナ・ワクチンと、ロシアの「スプートニクV」を組み合わせる試みが、行われようとしている。
規制当局の承認を待っている英のワクチン
イギリスのオックスフォード大学は先日、製薬会社「アストラゼネカ」と開発してきた新型コロナ・ワクチンの臨床試験の結果を発表。人に投与しても安全で、感染を防ぐ効果もあると報告した。
そして現在も、このワクチンが高齢者に対してどの程度効果があるか分析を進めており、同時にイギリスの規制当局「医薬品・医療製品規制庁」の承認を待っているという。
しかし今後、このワクチンとロシアが開発したワクチン「スプートニクV」を組み合わせて投与する、臨床試験を計画しているそうだ。
2つともアデノウイルスを使う
アストラゼネカと提携して開発されたオックスフォード大のワクチンと、モスクワのガマレヤ研究所によって開発された「スプートニクV」は、どちらもSars-CoV-2スパイクタンパク質の遺伝物質を含んでいるため類似しているという。
ただ実は、オックスフォード大などのワクチンが、チンパンジーのアデノウイルス(一般歴な風邪ウイルス)を使っているのに対し、「スプートニクV」は2つの異なった人間のアデノウイルスをベクター(運び屋)として使っているそうだ。
このようなワクチンの潜在的な問題は、免疫系が以前ワクチンで使用された種類のアデノウイルスに遭遇した場合、ワクチンが免疫応答を引き起こす前にそれを破壊する可能性があるということ。
これは「抗ベクター免疫」の問題と呼ばれており、これが、オックスフォード大学のグループが人間ではなくチンパンジーのアデノウイルスの使用を選択した理由だと言われている。
また実際に、異なるワクチンを混合して一致させることで解決策が得られる場合もあるという。この考え方は「異種プライムブースト」として知られており、他の病気に対するワクチン接種プログラムで使用されてきたそうだ。
今月末から臨床試験を予定
オックスフォード大学は自分たちのワクチンと組み合わせることで、人々の免疫反応をより高めることを狙っているという。
そしてすでにイギリスの研究者とロシアの研究者がチームを組み、組み合わせたワクチンの臨床試験に向けて動き出しているそうだ。ただロシアのワクチンのどの成分が、オックスフォード大のワクチンと一緒にテストされるかは、まだ明らかにはなっていない。
この臨床試験は今月末からロシアで行われる予定で、被験者は18歳以上。しかしまだどのくらいの人数の被験者に投与するかも決まっていないそうだ。
アストラゼネカによれば、現在よりよい免疫反応を引き出せるかを見極めるために、2つの異なったアデノウイルス・ワクチンを組み合わせる方法を探っている最中だという。(了)
出典元:The Guardian:Oxford Covid vaccine to be combined with Sputnik jab for trial(12/11)
出典元:BBC:Covid: Trials to test combination of Oxford and Sputnik vaccines(12/11)