木星で発生する美しいオーロラ、探査機「ジュノー」により詳細が明らかに
NASAにより、木星上空で発生したオーロラのさらに詳しい状況が観測された。
木星の極点上空に発生するオーロラ
木星では両極の上空に、紫色のオーロラが出現するのだが、今回探査機「ジュノー」により、その起源が明らかになったという。
3月16日に科学誌「AGU Advances」に発表された研究内容では、夜明けに現れるオーロラ(嵐)が木星の夜側で発生することが明らかにされた。
またオーロラは星の自転と共に昼側へと回転しながら移動し、複雑で明るい光が、さらに強烈に輝き出すことも分かったそうだ。
この結果として、オーロラは数百から数千ギガワットの紫外線を宇宙に放出。このことは、通常のオーロラより、少なくとも10倍多くのエネルギーを木星の上層大気に放出していることを表しているという。
1994年に最初に発見される
実は、このオーロラが最初に発見されたのは1994年。当時はNASAのハッブル宇宙望遠鏡の微光天体カメラによって、観測されたという。
それからも地球からの観測が続けられたが、木星の夜側でオーロラが発生する様子は隠され、観測できなかったそうだ。
また他の探査機「ボイジャー」や「ガリレオ」「カッシーニ」なども、極の上空を飛行することはなく、距離も離れていたため、オーロラの完全な姿を捉えることができなかった。(下は2016年公開の動画)
しかし今回、NASAの探査機「ジュノー」により、夜側で何が起きているのかを初めて知ることができたという。
研究論文の共同執筆者であるベルギー・リエージュ大学のZhonghua Yao氏は「夜明けに連続するオーロラ(嵐)の全体を見ると、サブストームと呼ばれる一種の地上オーロラに非常に似ていることに気づかずにはいられませんでした」と語っている。
そして、根本的に磁気圏が異なる地球と木星において、このような類似性が見られることは驚くべきことだという。
これらの新しい発見により、今後も科学者はオーロラの形成を促進する相違点と類似点をさらに研究することができ、このような最も美しい惑星現象が太陽系内外の世界でどのように発生するかをよりよく理解できると考えられている。(了)
出典元:NASA:NASA’s Juno Reveals Dark Origins of One of Jupiter’s Grand Light Shows(3/16)