古代都市「マチュ・ピチュ」が作られた年代、20年も古かった可能性
南米ペルーにある古代遺跡「マチュ・ピチュ」の作られた年代が、以前考えられていたよりも、さらに古い可能性が出てきた。
これまでの根拠はスペイン征服後の記録
これまで75年以上もの間、多くの歴史家や科学者は、「マチュ・ピチュ」が西暦1438年以降に建設されたと仮定した上で、研究を続けてきたという。
この年代は主に、16世紀にスペイン人がこの地を征服した時の記録に基づいていたそうだ。
しかし今回の調査で、改良された放射性炭素年代測定法により、少なくとも20年は古いものであることが判明した。
今回の調査を行ったアメリカ・イエール大学のRichard Burger教授は、次のように述べている。
「この結果は、主に植民地時代の記録に基づいたインカ帝国の発展に関する議論を、見直す必要があることを示唆しています。現代の放射性炭素法は、矛盾した歴史的記録よりもインカの年代記を理解するためのより良い基盤を提供します」
26の遺骨を調査
「マチュ・ピチュ」は世界でも有名な遺跡で、多くの観光客が訪れているが、西洋の歴史家にとっては謎の多いものの1つになっていたという。
そこでイエール大学のRichard Burger教授率いる研究チームは、「マチュ・ピチュ」に残されてきた26体の人骨を調査。加速器質量分析法(AMS)による年代測定を試みた。
その結果、遅くとも1420年から(またはそれ以前から)1530年までは、この遺跡が継続的に使用されていたことが強く示唆されたそうだ。
この後者の年代(1530年)は、スペインがインカ帝国を征服し始めた時期と、ほぼ一致すると考えられている。ケンブリッジ大学のGabriela Ramos博士は次のように語っている。
「インカの遺跡の年代測定は、文書による記述と考古学的な証拠が必ずしも一致しないため、推測の余地があります。何十年もの間、歴史家や人類学者は主に文書による記述に頼ってきましたが、考古学的発見や放射性炭素年代測定法などの技術がコロンブス以前の社会についての理解に貢献したり、追加したり、変えたりしているのはむしろ最近のことなのです」
実は「マチュ・ピチュ」には人間の墓がほとんど残っていないが、それは略奪が行われたからだと考えられている。(了)
出典元:The Guardian:Scientists discover Machu Picchu could be at least two decades older than thought(8/4)