インフルのワクチンを打った人は新型コロナで重症化しにくい、研究結果を発表
インフルエンザのワクチンを打っていた人が、新型コロナウイルスに感染しても、重症化しにくい傾向にあるとする研究結果が発表された。
7万4700人の電子医療記録を分析
アメリカのABC Newsによれば、その研究結果は8月4日に、学術誌「Plos One」において発表されたという。
研究では、アメリカやイギリス、ドイツ、イタリア、イスラエル、シンガポールなどで、新型コロナの陽性となった7万4700人の電子医療記録が分析されたそうだ。
その結果、過去6カ月にインフルエンザのワクチンを接種した人は、新型コロナに関連する合併症を起こす可能性が低いことが分かったという。
集中治療室への入院の可能性が20%高い
具体的には、インフルエンザのワクチンを接種していない人は、接種した人に比べ、集中治療室に入院する可能性が最大20%、救急外来を受診する可能性が最大58%高かったという。
また敗血症を発症させる可能性も最大45%、脳卒中の発症も最大58%、深部静脈血栓症を発症させる可能性も40%高かったそうだ。
しかし現時点で、インフルエンザのワクチンを接種することと、新型コロナで死亡する可能性が低いこととの関係については、分かっていない。
ただし今回の研究結果は、COVID-19による死亡率の改善とインフルエンザの予防接種との間に関連性を見出した、いくつかの先行研究と一致するという。
予防接種が免疫力を高めている可能性
しかしこれは、どう考えればいいのだろうか?ABC Newsでは、次のように解説している。
「重要なことは、COVID-19の予後改善とインフルエンザの予防接種の関連性は、必ずしも新型コロナウイルスを防ぐことを意味するものではないということです。インフルエンザの予防接種が免疫力を高めている可能性もありますが、インフルエンザの予防接種を受けることを選んだ人は、受けない人に比べて全体的に健康である傾向があり、COVID-19の合併症のリスクがすでに低いということも考えられます。加えて、インフルエンザの予防接種はシーズンごとに変更されるため、2020年から2021年のインフルエンザのシーズンに開発されたワクチンが、2019年から2020年のワクチンと同じようにCOVID-19の重症化を抑制する関連性を持つかどうかも不明です」
インフルエンザのワクチンと新型コロナの重症化との関連については、さらなる研究が必要とされている。(了)
出典元:ABC News:Flu shot linked to less severe COVID-19: Study(8/5)