「オミクロン株」はファイザーのワクチンで重症化しない可能性、鍵はT細胞か
世界中で確認されつつある新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」。この変異株に対して、ファイザー/ビオンテックのワクチンが重症化を防ぐ効果があるかもしれない、との発言が浮上している。
「重症化することはない」との見方を示す
その発言を行ったのは、BioNTech SE社の共同設立者であるUgur Sahin博士だ。
彼はファイザー/ビオンテックのワクチンを接種した人の間でも、「オミクロン株」の感染が拡大する可能性はあるものの、重症化することはないだろうとの見方を示した。
Sahin氏によれば、この変異ウイルスは、ワクチンに反応して生成される抗体を回避する可能性はあるものの、体内に侵入したウイルスを破壊する免疫細胞に対しては脆弱である可能性が高いという。その上で彼は、次のように語っている。
「私たちのメッセージはこうです。”パニックにならないで、3回目のブースターショットの投与を早めるという計画は変わらない “ということです」
The current generation of #Covid19 vaccines probably will still protect against severe disease in people infected by the omicron variant, #BioNTech SE Chief Executive Officer Ugur Sahin said. #Omicron pic.twitter.com/NXJOh8W8MU
— Yasmin (@Yasmin082101) December 1, 2021
他の変異株に対しても重症化を防ぐ
Sahin博士は、ワクチンのメカニズムと変異株に関する現在の知識に基づいて、オミクロン株に感染した場合でも、免疫を受けた人は重篤な疾患から高いレベルで保護されると想定しているという。
またファイザーと共同で開発したワクチンは、他のコロナウイルスの亜種(変異株)に対しても重症化を防ぐことが証明されているそうだ。
実際、現在流行しているデルタ型は、初期の型に比べてワクチンを接種した人に感染しやすいことが証明されているが、それらの人はほとんどが軽い症状しか出ない、とSahin博士は述べている。
T細胞を完全には回避できない
そもそもファイザー/ビオンテックのワクチンは、ウイルスに対して2つの異なる保護を提供しているという。
1つ目は、抗体。これはウイルスが体内の健康な細胞に定着するのを防ぐことで、そもそも感染することを防ぐもの。
2つ目は、T細胞。これはウイルスに感染した細胞を破壊するために動員される、体内の免疫細胞のこと。Sahin博士によると、これまでにT細胞の免疫反応を逃れた変異株はなく、オミクロンもその点では、免疫逃避をする可能性は低いという。彼は次のように述べている。
「我々が(オミクロンにワクチンが効くという)信念を持っているのは、科学に根ざしているからです。(略)重篤な疾患から守るためには、T細胞という第二段階の免疫反応があります。ウイルスが免疫逃避を達成したとしても、T細胞を完全に回避することはできないでしょう」
モデルナ社の最高経営責任者・Stéphane Bancel氏はすでに、現在のCOVID-19ワクチンはオミクロン変異株に対して効果が低いと予想しているが、今回のSahin博士のコメントはその後に出されたものとなる。(了)
出典元:Fox Business:COVID-19 variant omicron is unlikely to cause severe illness in vaccinated people, BioNTech founder says(11/30)