NASAの新しい探査機が本格始動、17 世紀に爆発した星の残骸を撮影
昨年、打ち上げられたNASAの観測機が、最初の画像データを地球に送り届けた。
これまで1カ月間の試運転を実施
その探査機とは、「X線偏光観測探査機(Imaging X-Ray Polarimetry Explorer:IXPE」だ。
この探査機は、2021年12月9日に打ち上げられ、これまで1カ月以上の試運転を行ってきたという。
そして今回、17 世紀に爆発した星の残骸からなる天体「カシオペア座 A」を撮影。その画像データを地球に送り届けた。
チャンドラX線観測衛星のデータと重ねた画像
「カシオペア座 A」は、爆発の衝撃波で周囲のガスが巻き上げられ、高温に加熱。宇宙線の粒子が加速され、X線で光る雲ができたという。
上の写真は、NASAのチャンドラX線観測衛星の高エネルギーX線データ(青色)と重ねられており、ピンク色の色合いは、IXPEで観測されたX線の光の強さに対応しているそうだ。
チャンドラX線観測衛星とIXPEでは、検出器の種類が違うため、それぞれ角度や解像度、鮮明さなど異なったレベルで天体を捉えることができる。
この写真には、IXPEのデータのみを表示したバージョンもあるという。
IXPEでは「偏光」を測定
「カシオペア座A」はこれまでにも他の望遠鏡で研究されており、チャンドラのX線画像から、この超新星の残骸の中心にブラックホールや中性子星と思われるコンパクトな天体が存在することが初めて明らかなった。
しかしIXPEの観測によって、「カシオペア座A」に関して、これまで見たこともないような新しい情報が得られる可能性があるそうだ。
IXPEは「偏光」をとらえ、X線の光が宇宙を通過する際にどのように方向づけられるかを測定するという。
そもそも光はあらゆる方向へ振動しているのだが、宇宙空間で塵などの粒子に当たると、振動に一定方向の「偏り」が起きる。これが「偏光」と呼ばれ、その光がどのような環境で生まれたかを知る手がかりになり、発生源からのX線のエネルギー量や到達時間、空間での位置も測定できるそうだ。
この偏光計測のデータを分析することで、この超新星の残骸の詳細が明らかになることが期待されている。(了)
出典元:NASA:NASA’s IXPE Sends First Science Image(2/14)