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ネアンデルタール人が巨大なゾウを狩猟、より大規模な集団生活を営んでいた可能性

ネアンデルタール人が巨大なゾウを狩猟、より大規模な集団生活を営んでいた可能性
Twitter/Alex Richter-Boix/Tom Björklund

ネアンデルタール人が巨大なゾウの狩りをしていた可能性が、新たな研究結果によって示された。

 

マンモスよりも大きなゾウを倒す

 

1980年代、ドイツ中央部の町、Halle近郊にある巨大な石炭採掘場で、約70頭の古代のゾウ(straight-tusked elephants:Palaeoloxodon antiquus)の骨が発見された。

 

そのゾウは今から12万5000年前、更新世の時代に生きていたと考えられている。しかもマンモスよりもはるかに大きく、現在のアジアゾウの3倍の大きさで、大人のオスは13トンもあったという。

 

研究者たちは、これらの骨を調査。その結果、当時ネアンデルタール人が、このゾウを狩っていた可能性が高まったそうだ。しかもこのことから、以前考えられていたよりも、ネアンデルタール人が遥かに大きな集団で生活していたことも示唆された。

 

象狩りの最初の明確な証拠

 

この研究の共著者で、オランダ・ライデン大学の考古学教授であるウィル・ローブロークス氏は、次のように述べている。

 

「この巨大な動物(ゾウ)を狩り、完全に解体することは、この場所でのネアンデルタール人の生計活動の一部でした。これは、人類の進化における象狩りの最初の明確な証拠となります」

 

研究者たちは、採石場から発見されたゾウの骨の年齢と性別の特徴から、ゾウが実際に狩猟されており、死骸が単に拾い食いされていたのではない、と判断したという。

 

実際、狩られていたゾウのほとんどがオスで、幼いゾウや年老いたゾウはあまりなかったそうだ。

 

子供を守るために群れを成して移動するメスとは異なり、オスのゾウは長い時間単独で行動するため、ネアンデルタール人が泥や落とし穴に追い込んで動けなくすることが容易だと、研究者たちは考えている。

 

Twitter/Francesco Santini

1頭のゾウから2500食分

 

また研究者たちによれば、ネアンデルタール人は1頭の象から提供される膨大な量の食物を保存することができ、それは数カ月間、彼らの生活を維持できたという。ローブロークス教授も、次のように語っている。

 

「約10トンの平均的なオスの象は、大人のネアンデルタール人のために、最低でも2500食分を提供したでしょう。彼らは、より長い期間、それを保存することによって、または我々が一般的に推測するよりも、ずっとずっと大きなグループで生活することによって、対処できたのです」

 

彼らは硬い道具でゾウを屠殺し、その痕跡が保存状態の良い骨にはっきりと残されているそうだ。

 

ただし、ネアンデルタール人の集団の規模が、実際にどの程度だったかを正確に推定することは、今回の研究では困難だったという。(了)

 

出典元:The Guardian:Pit find in Germany reveals how Neanderthals hunted huge elephants(2/1)

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