「心を改変する可能性」国連がAIチップを脳に埋め込む危険性を警告
国連の科学文化機関である「ユネスコ」は、ニューロ(神経)テクノロジーがもたらす人権上の懸念を表明した。
AIアルゴリズムによって強化
ニューロテクノロジーとは、電子機器を神経系に接続するための技術を指し、現在、神経障がいの治療や、運動、コミュニケーション、視覚、聴覚の回復に応用されているという。
またこれは他の技術とは異なり、脳の構造に直接アクセスし、操作することが可能で、それは人間のアイデンティティ、思考の自由、自律性、プライバシー、幸福に影響を与えるそうだ。
AIを専門とするユネスコのエコノミスト、Mariagrazia Squicciarini氏は「最近、神経テクノロジーは、かつてない方法でデータを処理し、そこから学習することができるAIアルゴリズムによって超強化されています」と述べている。
「頭の中に誰かがいる」
また「ユネスコ」は最近、自身のサイトにおいて、てんかん患者の女性、ハンナ・ガルヴィンさんの例を紹介している。
彼女は発作を検知し、本人に横になるよう知らせるために、ニューロテック・デバイスを脳に取り付けていたという。
しかしガルヴィンさんは当時、「頭の中に誰かがいるような気がする」と語っており、結局このデバイスが彼女の生活を悪化させてしまったため、今では取り外されたそうだ。
心を改変する可能性が高まる
もっともAIがニューロテックの分野を強化することで、麻痺した人の歩行を助けるために、この技術が使われる可能性もある。
しかしニューロテクノロジーの倫理的問題を論じた昨年の国連報告書では、特にAIチップが人々の思考や感情をモニターし、コントロールすることについて警告している。
また、AIチップが人々の行動を操作するために使われる可能性についても、懸念を示したという。
国連の「ユネスコ」も先日パリで開催された会議において、「ニューロテクノロジーがもたらす人権上の懸念に対処するため、世界的な『倫理的枠組み』の開発に着手した」と明らかにした。
「ユネスコ」のガブリエラ・ラモス事務局長補は、メディアへの取材に対し、次のように語っている。
「この技術が人権と基本的自由を尊重する形で使用されることを、保証する必要があります。侵襲的かつ広範な方法で脳、ひいては心を改変する可能性が高まっているため、世界的な機関は、私たちの精神的プライバシーを保護するための新しい『神経特有の人権』について考えるよう促しています」(了)
出典元:METRO:UN warns of AI brain chips ‘on steroids’ that could control minds(7/17)