なぜ?「はしか」による世界の死者数が43%も増加:CDC報告
世界保健機関(WHO)とアメリカ疾病予防管理センター(CDC)の新たな報告書が発表され、「はしか(麻疹)」の症例数や死亡者数が、2021年から2022年にかけて劇的に増加したことが明らかにされた。
症例数は18%増、死者数は43%増
11月17日に発表されたCDCの「罹患率・死亡率週間報告書(MMWR)」によれば、2021年から2022年の間に「はしか」の推定症例数が18%増加していることが明らかになったという。
これは、症例数が約780万人から920万人に増加したことになるそうだ。
また世界の「はしか」による死亡者数は、2021年の9万5000人から2022年の13万6200人へと43%も増加。
さらに「はしか」の「大規模または破壊的な発生」を報告している国の数は、2021年の22カ国から、2022年には37カ国に急増し、68%増加したという。
CDCの世界予防接種部門の部長、ジョン・ヴェルトフィーユ氏は、声明で次のように述べている。
「『はしか』の発生と死亡の増加は驚異的だが、不幸なことに、過去数年間に見られたワクチン接種率の低下を考慮すると、予想外ではない。『はしか』の症例はどこであれ、ワクチン接種が不十分なすべての国や地域社会にリスクをもたらす」
特に貧しい国でワクチン接種が減少
世界保健機関(WHO)とユニセフは毎年、「はしか」や「おたふく風邪」、「風疹」に効果のあるMMRワクチンの接種数を世界中で追跡し、その数を予防接種が推奨されている年齢層の子供の総人口で割っているという。
そして2000年から 2019年の間に、1回目のMMR投与によるワクチン接種率は、世界中で72%から86%に上昇。
しかしCDCの「罹患率・死亡率週間報告書」では、2020年に新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生したため、接種率は83%に低下し、2021年には81%にまで減少したそうだ。
2022年には、一部の国がコロナ禍から脱したため、世界の接種率は83%に上昇したものの、低所得国ではワクチン接種率が低下し続けたという。
実際に2019年から2021年にかけて、低所得国での接種率は71%から67%に低下し、2022年には66%に減少したそうだ。
2022年に1回目のMMRワクチン接種をしなかった2200万人の子供のうち、半数以上がアンゴラ、ブラジル、コンゴ民主共和国、エチオピア、インド、インドネシア、マダガスカル、ナイジェリア、パキスタン、フィリピンに住んでいるという。
また2022年には世界全体で、MMRの2回目のワクチン接種率が74%にしか達しておらず、地域社会をアウトブレイクから守るには、1回目と2回目のワクチン接種率が95%に達する必要があるそうだ。(了)
出典元:Livescience:Measles deaths jumped over 40% from 2021 to 2022, CDC reports(11/19)