バリ島が“ごみ緊急事態”を宣言、地上の楽園を取り戻すためのプロジェクトを開始


燦燦と輝く太陽に、澄み切ってどこまでも広がる青い海岸線…。“地上の楽園”との呼び声も高いインドネシア・バリ島といえば、そんな姿を思い浮かべる人も多いのではないのだろうか。

 

ところが昨今、バリ島のビーチは観光客などが捨てるごみにより、かつての面影が感じられないほど無残な姿をさらしているという。

 

そんな現状に危機感を抱いたバリ島は、ついに「ごみ緊急事態」を宣言。美しかったかつての姿を取り戻すため、民間による島からごみを取り除くプロジェクトを始めた。

 

一日で40トンものごみを回収

 

ごみ撤去のためのプロジェクトを率いるのは、インドネシアのごみ問題に危機感を抱く企業や組織を取りまとめる団体、「One Island One Voice(OIOV)」。

 

同団体は24日にバリ島で過去最大となるごみ撤去のためのイベントを行い、これには55か所の地点で1万2000人もの人が参加。

 

ビーチから河川、ジャングルまで幅広い範囲でごみの回収を行い、一日でなんと合計40トンものごみを収集したという。

 

 

回収されたごみは村ごとに仕分けられ、ペットボトルに詰めたごみを建築素材として利用することを推進する団体「Ecobricks」へと送られたり、リサイクルされたりするという。

 

対処しきれぬごみを違法に処理

 

インドネシアは世界でも中国に次いで最も多くのプラスチックごみを海へと排出してきたことで知られ、その量は年間20万トンほどにも及ぶとされる。

 

さらにバリ島にとっては、近隣のジャワ島から流れ着く大量のごみも悩みの種。

 

バリ島のビーチにはここ数カ月もの間にわたり、ジャワ島から流れてきた大量のプラスチックはじめとするごみが漂着していたという。

 

 

またバリ島のみでも一日で5000立方メートルにも及ぶごみが排出されており、自らの排出分とジャワ島から流れ着いたごみとの双方に対処することができず、バリ島ではこれまでごみを焼却したり道路脇や河川、さらには海などに廃棄したりと違法な形で処理してきたという。

 

これら目も当てられぬほどの大量のごみの存在は、観光客の足をもバリ島から遠ざけてきた。

 

OIOVのスポークマンSara Cravesさんは「ごみの状況がどれほどひどいものであるかを目にした観光客の多くが、バリ島にはもう訪れたくないと伝えています」と嘆く。

 

ごみに対する問題意識を高める

 

一方、イベントの計画に携わったRima Agustinaさんは、「このイベントは単にごみを回収するためのものだけではなく、バリ島で何が起きているか知らしめ、理解を求めるためのチャンスなんです」という。

 

「1~2時間もの間ごみを回収すると、多くの人が考え方を変えます。彼らは、たった一度きりの使用で捨てられてしまうプラスチックごみは、利益よりも害悪をもたらすのではないか、と考え始めるようになるんです」

 

バリ島の学校「Green School」で教師を務めるイギリス人のHarriet Burrowsさんも、OIOVのイベントに参加した中の一人。

 

Green Schoolでは幼稚園生から高校生、そして生徒の両親までもがイベントに参加したといい、Burrowsさんはこれは“コミュニティ全体のイベント”であったという。

 

「住んでいる場所から犬と一緒に歩くビーチ、さらにはサーフィンをするビーチまで(イベントでは)行くことができます。これはバリ島に住んでいるということを感じることに焦点を定めたものなんです」

 

しかしCravesさんは、ただごみを回収するのでは問題の解決にならないことも指摘している。

 

「イベントは問題意識を高めることで人々を集わせて解決策を探し始めるため、人々に問題に関与してもらうための手段なんです」

 

観光地として人気を集めてきたバリ島が、ごみに埋もれ無残な姿をさらしているのを見るのは心が痛む。このごみ問題を解決し、バリ島が観光地としての名声を取り戻す日を待ち望むばかりだ。(了)

 

 

出典元:The Guardian:Bali hopes to regain paradise island status with mass cleanup (2/23)

出典元:AFPBB News:バリ島で「ごみ緊急事態」 観光客に人気のビーチも(1/20)

出典元:One Island One Voice – Bali’s Beach Clean Up