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機械は人の仕事を奪わない?スウェーデンの研究で明らかに

機械は人の仕事を奪わない?スウェーデンの研究で明らかに

スウェーデンによる最新の研究により、機械が人の仕事を将来的に奪う可能性は低いことが明らかになった。

 

機械に人の仕事が奪われる可能性は低い

 

「The Substitution of Labor(労働の代替)」と題された研究を発表したのは、スウェーデン・ストックホルムにあるストックホルム商科大学の研究者ら。

 

研究では将来的に人の仕事が自動化される可能性に着目。その結果、機械に人の仕事が奪われる可能性は低いということが判明したという。

 

その理由としては、自動化のためには技術的に困難な課題が様々な分野においていまだ数多く残されているためだ。

 

例えばデータベースから情報を収集する場合、人間よりも機械の方がより効率的に作業を行えるが、一方で何か新しいものをゼロから生み出すという作業においては人間の方がはるかに優れている。

 

これについて報告書では“自動化においてクリエイティビティは鍵だが、現在のところこれは最も難しい能力の一つだ。クリエイティビティを働かせるには、これまで親しんできた概念を新たに結び付けることができなくてはならないが、これには豊富な知識が必要とされる”と説明。

 

加えて機械の場合、人間が生きる中で築き上げる共通知識を欠いていることにも言及している。

 

機械が欠く様々な能力

 

また知覚の繊細さも人間にあって機械にないものの一つだ。

 

対象物をどれほどの力加減で掴むのかということや、対象物がカメラの視界から外れてしまった際にそれがどこにあるか判断するということは、機械にとっては難しいタスク。

 

同様に個人の声を識別することや、レストランなど多くの雑音が入る場で正確に情報を記録するといったニュアンスを把握する聴力も、機械にはいまだ備わらない能力だ。

 

しかし機械にとって最も困難かつ残された課題が多いのは社交と感情における能力。

 

報告書ではこれについて、“おそらく少なくとも20年は人間の能力を超えることはない”としている。

 

機械はやはり単純作業向き

 

これらを勘案すると、機械はやはりニュアンスを要さない単調な作業に適しているということだ。

 

倉庫内において荷物を梱包するといった単純作業においては既に人に代わって機械が導入され始めている一方、何が起きるか予測が付きにくい環境下においてその場に応じた柔軟な対応を取るためにはニュアンスが求められるため、機械には難しい。

 

 

わかりやすい例として報告書が挙げるのは、病院での仕事だ。

 

患者をベッドから外へと連れだすという業務を行う際、まずはコミュニケーションに基づいて患者の感情を慮り、それに応じて外へと連れ出すか否か判断しなければならない。

 

さらには力加減を調整しつつ患者をベッドから運び出し、そして外へと連れ出すという業務は、人間からすればごく単純な作業だ。

 

しかしこれには感情を慮る能力に加え、知覚的な繊細さも求められるため、機械で行うのは非常に困難となる。

 

報告書の執筆者の一人であるJochem van der Zande氏は、「ニュアンスを感じ、それに応じた作業をこなすということは、明らかに現在の技術がいまだ直面している課題だ。例えば皮肉を理解することや、小さく壊れやすいものを扱うということは、機械にとっては非常に難しい」という。

 

さらに「新たな環境に適応することや予期せぬハプニングが起こりえる単純作業以外の業務、複数の可能性を統合して効率的で総体的な解決策を編み出すといったことはまだ機械にとっては難しく、機械が持てる潜在性はこの事実に大きく影響されている」とも付け加える。

 

また教えたり交渉したりといった、想像力と論理的思考が求められる作業においても、機械が行うことは難しいという。

 

仕事が奪われる可能性が高い職種に就く人は9%

 

研究者らは機械によって仕事が奪われる人の割合は国によっても異なるとするが、経済協力開発機構(OECD)加盟30か国において、機械によって仕事が奪われる可能性が高い職種に就く人は9%ほどだという。

 

つまり将来的に最も考えられるシナリオとしては、機械は多くの人の仕事を奪うのではなく、特定分野における単純作業の担い手となり、一方で人が機械より優れた能力を持てる分野において、機械を補足する役割を果たすということだ。

 

「我々の研究で判明したのは技術の進歩が多くの人の仕事を奪う可能性は低い一方、人間と機械による共同作業をより増やし、人の手による労働の集中を変化させるということだ。しかしながら、これを実現させるためには人は適切に教育され訓練を受ける必要がある。このために政府と民間企業は注力しなければならない」

 

 

機械によって仕事が奪われる将来が訪れる可能性が低いということは朗報だが、他方で一部の職種が機械によって奪われていくことには変わりはない。将来機械に仕事を奪われないためには、今から機械にはできない能力を身に着けた方がよいのかもしれない。(了)

 

出典元:The Local Sweden:Don’t worry, robots aren’t coming to take our jobs: Swedish report(2/22)

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