日本では2020年までに、8割もの高齢者がロボットから支援を受けるようになる?
2020年までに、8割にも及ぶ高齢者がロボットから介護を受けるようになると報じた海外メディアの記事が話題を呼んでいる。
2025年までに介護の人手は37万人不足
これを報じたのは英国の日刊紙The Guardian。
高齢社会に直面する日本では、2025年までに介護の人手が37万人ほど不足すると予測されており、記事ではその穴を埋めるため利用を広げていきたいと考えられているのがロボットだと伝えている。
開発者らは、高齢者をベッドから車椅子まで運ぶ、あるいは風呂に入れる、といった介護現場の補助が可能なロボットの開発に努めてきたという。
しかし政府は2015年、ロボットが持てる潜在的な可能性を見据え、介護における優先事項を列挙したリストを更新。
その中には、介護を受ける人がいつトイレに行く必要があるかを予測できるロボットまでもが含まれているという。
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— 介護リラ (@kaigolila) February 2, 2018
ロボットを利用する介護施設はわずか8%
産業技術総合研究所でロボットイノベーション研究センター長を務める比留川博久氏は、介護ロボットの導入は、介護に務める人の負担を軽減するとともに、自宅で介護を受ける人の自主性を高める目的もあるという。
「ロボット工学はこれら全ての問題を解決することはできないが、これらの問題のうちいくつかには貢献できるようになる」と比留川氏は述べる。
一方で比留川氏によると、介護ロボットはこれまでのところわずか8%の介護施設においてしか導入されていないという。
その理由としては、やはりロボット導入にかかる費用が高額になってしまうということが一因に挙げられる。
しかしそれだけではなく、介護は人の手によって行われるべきである、という介護に携わる人々の固定観念もロボット導入への障壁となっているという。
また比留川氏は「介護される側の人からしても、初めはもちろん心理的抵抗がある」とも付け加えている。
ロボットの使用は特定の介護現場のみを想定
ロボットイノベーション研究センターでは、ここ5年以上もの期間にわたり、政府支援を受けたプロジェクトを実施。
同プロジェクトでは98もの製造業者による介護用ロボットの試験を行い、そのうち15社は既にロボットの製品化までこぎ着けたという。
一方これまで開発されてきた介護用ロボットは、コスト削減と複雑性の低減のため、特定の介護現場における使用のみを想定したものとなっており、人に似た外観でもなければ会話する機能もないという。
このようなものの一つの事例としては、街中での歩行を補助する機器の存在が挙げられる。
機器にはセンサーが取り付けられており、使用者が上り坂を歩く際にはそれを後押しする機能が、下り坂ではブレーキが作動するという。
これについて比留川氏は「日本には既に電動式の自転車もあるが、(介護用ロボットは)いわば歩行を手伝うためのバージョンだ」と述べる。
第4回かがわ介護王座決定戦、介護ロボット実演展示会● https://t.co/FI0JDVdMbL 近所のサンメッセで開かれているので母と見学。ジャイロセンサー付きで坂道登りはモーターが回り下りになるとブレーキがかかるという。母には不適だが歩行訓練と思って平地で試用させてもらう pic.twitter.com/jM6YFDKYr7
— 大熊正喜 (@ookumamasa) November 4, 2017
次の研究の優先事項は、移動を補助するためのウェアラブル機器の開発と、トイレが必要なタイミングを予測してその補助を行うロボットの開発だとされている。
介護ロボットが普及することで、重労働を強いられるという介護の現場の負担を減らし、介護を受ける人にとっても満足のいくサポートが得られる日がくれば、願ったり叶ったりだ。(了)
出典元:The Guardian :Japan lays groundwork for boom in robot carers(2/5)
出典元:Asian Correspondent:Robots to care for 80 pc of Japan’s elderly by 2020(2/5)