白人至上主義者による事件を受け、偏見と差別を警告する1947年の映画が話題に
白人至上主義者やネオナチなどの運動が活発化しているアメリカで今、過去の映画が話題になっているという。
偏見や差別が浸透していく姿を描く
その映画のタイトルは『Don’t Be a Sucker(ダマされる人になるな)』。これは第2次世界大戦後の1947年にアメリカ軍によって制作されたフィルムとされ、どのように偏見や差別が社会へ浸透していくかを批判的に描いた内容とされている。
そして先日、白人至上主義者のJames Alex Fields Jr容疑者が、人種差別に反対するグループの列に車で突っ込み、32歳の女性が死亡した事件を受け、アメリカやイギリスでもこの映画が注目を集めているという。
差別を煽る演説に耳を傾ける若者
そのフィルムは17分という短いものだが、物語の前半には差別を煽る男が、皆の前で演説する様子が映し出される。
その演説を1人の若者と年配の元大学教授が聞いていたのだが、若者の方は演説の内容に同意しかけていた。
しかし男が「黒人」や「外国人」「カトリック教徒」そして「フリーメーソン」を非難した時、若者は戸惑ってしまう。なぜなら彼はフリーメーソンの一員だったからだ。
偏見は人によって作られる
その様子を隣で見守っていた元大学教授は、若者に対し「自分はハンガリー出身だが、ナチスが台頭するベルリンでも、同じような演説を聞いてきた」と語りかける。
そしてナチスが偏見と暴力によって社会を分断させ、弱体化させることで国を滅ぼしたと説明。アメリカに住む人々は皆マイノリティだとして、人種や宗教によって社会を分断させてはいけないと説く。
やがて最後に「人間は偏見を持って生まれるわけではない。偏見は作られる。それは何かを得ようとしている人によって」と説得した。
その後、場面は過去にさかのぼり、ベリルンでナチスが同じように演説し、人々を分断させていく様子が描かれていく。
全編を公開している動画は全て英語だが、BBCでは日本語の字幕がついた一場面を公開している。まずは、そちらからご覧いただきたい。(了)
出典元:METRO:Anti-racism film released by US Government in 1947 goes viral after Charlottesville(8/14)