自らの命を絶つため104歳の男性がスイスへ旅立つ、豪で安楽死を巡り議論に
104歳になるオーストラリア人男性が自ら死ぬために、安楽死が許されるスイスへ旅立ったとして、議論が起きている。
自殺幇助が許されるスイスへ旅立つ
その男性とは、今年4月4日に104歳になったDavid Goodallさん。彼はオーストラリア人の自然科学者で、もはや生きる意味を失ったとして、かねてから自ら命を絶ちたいと願っていたという。
しかしオーストラリアでは限られた場合を除き、自殺の幇助(安楽死)は禁止。そのため安楽死が許されているスイスへ渡ることを決意し、先週の水曜日にパースにある自宅を離れ、最寄りの空港からスイスへと旅立っていった。
これによりオーストラリアでは個人が自らの命を絶つ権利や、他の人がどんな役割を果たすべきかについて議論されているそうだ。
外国人に対して自殺幇助をする施設がある
安楽死や幇助自殺を行うことは、ベルギーやカナダ、オランダ、アメリカの一部の州でも許されているという。
しかしスイスは何十年も自殺幇助が許されており、外国人に対しても医師の助けを借りて自殺できる施設のある唯一の国とされている。
DavidさんはオーストラリアABCの取材に対し、次のように語っている。
「私はこの年齢に達したことを大いに後悔しています。私は今、幸せではありません。私は死にたいんです。それは特に寂しいことではありません。悲しいのは人がそれを妨げられることです」
最近まで大学で働いていたが…
Goodallさんは1人暮らしだったが、最近までとても充実した生活を送っていたという。実際、数年前までバスや電車に乗って大学へ通い、週に4日間も勤務していたそうだ。
また102歳になりオーストラリアで最高齢の科学者となった時には、体も弱くなり、通勤の安全性を考慮した大学から解雇されそうなるが、大学の近くへ引越し、そこから通っていたとされている。
しかし先月、彼は自宅のアパートで転倒。2日間も発見されない状態となり、その後医者からも公共交通機関を利用することや、自分1人で道路を横断することさえ禁じられてしまう。
そのため次第に体力が悪化、目も悪くなって学術的な仕事も不可能になり、自らの望むことができなくなったという。
Davidさんの娘であるKaren Goodall-SmithさんはExitの取材に対し、次のように語っている。
「仕事が父を生きながらえさせていたのです。仕事は彼の趣味であり、同様に情熱を注ぐものだったのです。仕事がなくなったら、彼にはもはや目標がなくなったのだと思います。彼は自分の命や身体、視覚さえもコントロールできなくなっていたのです。彼は104年間、本当によく生きてきました。たとえ何が起きても、たとえどんな決断を下そうとも、それらは父次第なのです」(了)
出典元:The New York Times:Why David Goodall, 104, Renowned Australian Scientist, Wants to Die(5/3)
出典元:The Guardian:David Goodall: 104-year-old scientist to end own life in Switzerland(4/30)
出典元:exit international:Is extreme old age a terminal condition?(4/24)