4年前の事故以来、英の民間企業がロケットの動力飛行に成功【動画】
スペースX社など民間企業によるロケット開発が進む中、今度はイギリスの会社もフライトテストを成功させた。
音速を超えるスピードを記録
その企業とは「Virgin Galactic」。ヴァージン・グループのCEOであるリチャード・ブランソン氏が率いる会社だ。
「Virgin Galactic」は先週の木曜日、再利用可能な新しいロケット「VSS Unity」の動力飛行を行い、実際にロケットエンジンを点火させ、成功させたという。
そのテストでは故意にエンジンを停止させる実験も行われ、その後カリフォルニア州やネバダ州に広がるMojave砂漠に着陸する前には、宇宙船が音速を超える速度を記録したそうだ。
飛行機で宇宙船を運び、上空で切り離す
「VSS Unity」は、通常の垂直に打ち上げられるロケットとは異なる。このロケットはマザーシップと呼ばれる巨大な飛行機に取り付けられ、高高度まで上昇してから、切り離されるという。
Catch up on today's supersonic rocket ride here! https://t.co/kKxgEIx3ma pic.twitter.com/32rKfzz2St
— Virgin Galactic (@virgingalactic) April 6, 2018
Today VSS Unity completed her first powered flight #SpaceShipTwo pic.twitter.com/Q0WDW6Z1v5
— Virgin Galactic (@virgingalactic) April 5, 2018
また「Virgin Galactic」がこのロケットを作った目的は、宇宙開発ではない。観光ビジネスとして人々に微重力の空間から地球の素晴らしい眺めを味わってもらうことだと説明している。
そして今回のテストフライトでは、マザーシップが太平洋標準時の午前8時に離陸。カリフォルニアのSierra Nevada山脈の上空、4万6500フィート(約1万4000m)を飛行したという。
その後、「VSS Unity」が切り離され、短時間の自由落下の後、30秒間ロケットエンジンを噴射。速度を上げてマッハ1.87に到達し、高度約8万4000フィート(約2万6000m)にまで上昇したそうだ。
もっともこれはカーマン・ライン、つまりその先が宇宙空間と定義される高度32万7000フィート(約100km)には届かない。しかしブランソン氏はこのテストの後、彼の宇宙旅行ビジネスが再び軌道に戻ったと宣言した。
2014年にはロケットが爆発する事故
実はこれらのロケット開発は順調に進んでいたわけではない。「Virgin Galactic」は今回の「VSS Unity」の前に「VSS Enterprise」と呼ばれる宇宙船で実験を行っていた。
しかし2014年のテストフライトで「VSS Enterprise」は爆発。パイロットのMichael Alsburyさんが死亡し、Peter Sieboldさんもケガを負ったという。
それから約3年近く、テストは行われず、計画は大幅な見直しを迫られることに。しかし2016年に「VSS Unity」の滑空テストを実施、今回初めてエンジンの点火を含む、動力飛行を成功させたそうだ。
VSS Unity completed her first supersonic, rocket-powered flight this morning in Mojave, California. Another great test flight, another step closer to being #NMReady pic.twitter.com/hVde2oAZWt
— Virgin Galactic (@virgingalactic) April 5, 2018
ブランソン氏も以前から宇宙への夢を膨らませており、2004年に「Virgin Galactic」を設立。すでに宇宙旅行のチケットも販売しており、料金は25万ドルになるが、50カ国の人々が予約し、代金も払っているとか。
一般の人々も手軽に宇宙旅行が楽しめる日も、そう遠くはないのかもしれない。(了)
出典元:CNN:Virgin Galactic fires up spaceship for the first time since deadly 2014 crash(4/5)
出典元:CNBC:Virgin Galactic completes first rocket-powered, supersonic flight of its new spacecraft, Unity(4/5)