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ハーバード大学の学長が辞任、反ユダヤ主義に関する議会証言で反発

ハーバード大学の学長が辞任、反ユダヤ主義に関する議会証言で反発
X_Sulaiman Ahmed

ハーバード大学の学長が、学内でのユダヤ人に対する抗議問題や、学術論文での盗用疑惑などで辞任した。

 

大学内での反ユダヤ的な行動について発言

 

ハーバード大学の学長、Claudine Gay氏は1月2日、学校関係者に宛てた書簡の中で、辞任することを明らかにした。

 

Gay氏は2023年12月初め、当時のペンシルベニア大学学長、Liz Magill氏とマサチューセッツ工科大学学長、Sally Kornbluth氏とともに議会での公聴会に出席。

 

10月7日以来のイスラエルと「ハマス」との紛争を受けて、それぞれのキャンパスで起きた反ユダヤ主義の抗議活動に対し、どのように対処しているかについて証言をしたという。

 

当時、ニューヨーク州選出の共和党下院議員、エリーズ・ステファニク氏はGay氏に対し、仮定の質問として「(学内で)ユダヤ人の虐殺を求めることは、いじめと嫌がらせに関するハーバード大学の規則に違反しますか?」と尋ねた。

 

これに対し、Gay氏は表現の自由をも考慮し、「それはコンテキスト(文脈)次第です。いじめや嫌がらせに関するルールは非常に明確で、その言葉が使われる文脈が、いじめや嫌がらせに相当する場合、私たちはそれに対して行動を取る」と答えたそうだ。

 

しかし学長らの、この慎重な発言が反ユダヤ主義を容認すると受け取られ、一方で他の人種差別や偏見を批判している、との非難の声が、ユダヤ人グループから寄せられたという。

 

しかも大学のキャンパス内では、イスラエルに対する抗議活動が行われ、寄付者と卒業生、学生や教職員同士の間で対立が生まれていたそうだ。

 

人種的な敵意、脅迫に晒される

 

ペンシルベニア大学の学長だったMagill氏は、12月初旬に大学を辞任。またGay氏も反発を受けて、声明で次のように、自身の立場を詳しく述べた。

 

「表現の自由の権利と、ハーバード大学がユダヤ人学生に対する暴力の呼びかけを容認するという考えを混同している人もいます。ユダヤ人コミュニティ、あるいはいかなる宗教集団や民族集団に対する暴力や大量虐殺の呼びかけは卑劣であり、ハーバード大学には彼らの居場所はありません」

 

しかし、その後Gay氏には過去の学術論文における盗用疑惑も浮上し、ハーバード大学は2023年12月12日の声明で、Gay氏に対する告発を踏まえ、公開された著作(論文)に対する独立した審査を要請したと発表した。

 

その結果、「不適切な引用」が数件あったことが明らかになったものの、「ハーバード大学の研究不正行為に関する基準には違反していない」と判断が下された。

 

ただその後も、Gay氏に対する圧力は強まり続け、今年に入り、彼女は学長を辞任すると明らかにした。Gay氏は学校関係者に宛てた書簡の中で、次のように述べた。

 

「法人(大学)のメンバーとの協議の結果、私たちのコミュニティが個人ではなく組織に焦点を当てて、この並外れた困難の瞬間を乗り切ることができるようにするためには、私が辞任することがハーバード大学にとって最善の利益であることが明らかになりました。憎しみと対峙し、学問の厳密さ――私が誰であるかの基礎となる二つの基礎的価値観――を守るという私の取り組みに疑問が投げかけられるのは苦痛であり、人種的敵意によって煽られる個人攻撃や脅迫にさらされるのは恐ろしいことです」

 

ただし、ハーバード大学によると、Gay氏は学長を辞任するものの、大学の教職員としては留まるという。(了)

 

出典元:ABC News:Harvard President Claudine Gay announces resignation amid plagiarism accusations, congressional testimony(1/3)

出典元:The New York Times:College Presidents Under Fire After Dodging Questions About Antisemitism(2023/12/6)

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