ガザ地区への支援物資の空中投下で5人が死亡、パラシュートが開かず
ガザ地区へ支援物資を届けるために現在、アメリカ軍などにより空中投下が行われているが、そこで事故が起き、複数のパレスチナ人が死亡した。
5人が死亡、数人が負傷
ガザ地区のメディア・オフィスによれば、パラシュートが開かず、群衆の上に空中投下された支援物資が落下し、5人が死亡、数人が負傷したという。
支援物資の空中投下には以前から、疑問符がつけられており、届けられる量も少なく、事故につながることが予想されていた。
ガザ地区のメディア・オフィスも、事故を受け、次のように述べている。
「このような形での支援物資の投下は、人道的奉仕というより、派手なプロパガンダです。私たちは以前、ガザ地区の住民の命に脅威をもたらすと警告しましたが、今日、荷物が住民の頭の上に落ち、このような事態になりました。(略)手遅れになる前に、陸路を通って支援物資を届けてください」
ガザ地区では、すでに20人が餓死したと確認されており、70万人以上のパレスチナ人が飢えに苦しんでいる。
BREAKING| Two citizens have been killed and others injured west of Gaza City after being hit by airdropped humanitarian aid due to the failure of the parachute to open. pic.twitter.com/DqxcX5y41E
— Quds News Network (@QudsNen) March 8, 2024
イスラエルへの軍事支援を続ける米政府に批判
アメリカのジョー・バイデン大統領は一般教書演説で、ガザ地区の海岸に臨時の港(浮き桟橋)を建設し、支援物資を届けると発表したが、計画と実行には数週間かかると見られている。
また一部の専門家は、アメリカ政府のこのような動きは、イスラエル軍が支援物資の搬入を一貫して阻止していることや、数十万人のパレスチナ人が飢えに苦しんでいるという事実から、注意をそらす試みだと非難している。
食料の権利に関する国連の特別報告者であるマイケル・ファクリ氏も、ジュネーブで記者団に対し、特に空中投下が「飢餓による栄養失調の緩和には、ほとんど役に立たず、飢餓の進行を遅らせることにもならない」と指摘。
その上で、アメリカによるイスラエルへの軍事支援が続く限り、港の計画や空中投下は「ばかばかしく」「皮肉な手法だ」と非難した。
国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」も、ガザ地区の子供たちは飢えと病気で命を落としており、臨時の港の建設まで待つことはできないと指摘。同団体のジェイソン・リー氏は「子供たちは、すでに栄養失調で死につつあり、彼らの命を救えるのは数週間ではなく、数時間か数日の問題なのです」と語っている。
人道支援物資の搬入はトラックが最も効率よく、大量に運べるとされ、専門家らはアメリカ政府が検問所を解放するよう、イスラエル政府に圧力をかけるべきだと指摘してきた。
“America is trying to buy (our silence) by sending us aid.”
The US airdrop of food aid into Gaza on Saturday sparked criticism from Palestinians who called it inadequate and hypocritical when the US funds and supplies Israel’s military ⤵️ pic.twitter.com/IBcQfrF0Wd
— Al Jazeera English (@AJEnglish) March 3, 2024
南部でも空爆により9人が死亡
そんな状況においても、ガザ地区ではイスラエル軍の攻撃が続けられており、3月8日にも南部のラファでは空爆により、2軒の住宅が破壊され、子供を含む9人のパレスチナ人が死亡したという。
またガザ市東部のTuffah地区でも、イスラエル軍により住宅が攻撃され、少なくとも2人が死亡、1人が負傷したと報告されている。
ガザ地区の保健当局の発表によれば、10月7日以来、イスラエル軍による攻撃で、少なくとも3万878人のパレスチナ人が死亡、7万2402人が負傷したという。(了)
出典元:Al Jazeera:Israel’s war on Gaza live: 5 killed as airdropped aid strikes Palestinians(3/8)