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ニカーブ姿のイスラム女性と警察官が抱き合う姿が話題に、その理由とは?

ニカーブ姿のイスラム女性と警察官が抱き合う姿が話題に、その理由とは?
Twitter / Thomas Ravn-Pedersen

デンマークでイスラム教女性特有の衣装、ニカーブに身を包んだ女性と警察官が抱き合う写真が大きな反響を呼んでいる。

 

感情的になったイスラム女性を宥める警察官

 

写真が撮影されたのは、今月1日、デンマークの首都コペンハーゲンでのこと。

 

写真では厳格なイスラム教徒の女性の服装である“ニカーブ”に身を包んだ女性と女性警察官が抱き合っている。

 

イスラム教徒の女性の方は、感情的になり涙を浮かべている様子で、女性警察官がそれを宥めているようだ。

 

 

この写真の背景にあるものとは

 

この写真に映る女性はAyahさん(37)。

 

しかしなぜ彼女は涙を浮かべるまでに感情的になってしまったのだろうか。

 

この背景には、1日より施行されたデンマークの新法の存在がある。

 

この新法においては、厳格なイスラム教徒の女性特有の服装で、顔を含む全身を覆うブルカやニカーブの公共の場での着用を禁止。

 

違反した場合には初犯で1000クローネ(約1万7200円)、さらに4度目の再犯では最大1万クローネ(約17万2500円)の罰金が課せられるという。

 

この法に対しては、国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」もイスラム教徒女性に対する差別であると指摘するなど、批判が上がっていた。

 

またこの写真が撮影されたのも、新法に対する抗議を唱えるデモの場でのことで、Ayahさんによるとデモには3000人ほどが参加していたという。

 

 

写真が撮影された際の心境とは

 

それではこの写真が撮影された際、Ayahさんはどんな心境だったのだろうか。

 

この時の状況についてAyahさんは、女性警察官の方から大丈夫かと尋ねられ、話しているうちに泣いてしまったとしている。

 

またAyahさんは、女性警察官が個人的にはこの新法に反対だと話したというが、彼女が終始親切だったのは「奇妙だった」ともいう。

 

これについてAyahさんは「複雑な心境でした。女性警察官は非常に親切だった一方、彼女は私が明日自宅を離れたら、私に罰金を科すことができるんです」と説明している。

 

 

自由が制限されると訴えるAyahさん

 

またこの写真が撮影される以前にも、Ayahさんはデンマークの新法についての取材に答えていた。

 

「これは私たちが知っているデンマークではありません」というAyahさん。

 

「望むときに外出できなくなってしまいます。私には二人の子供がいますが、バスや学校、電車からどうやって彼らを連れ帰ってくればよいのでしょうか」

 

さらに彼女は「それはばかげています」とし、「私が好きなことをもうすることができません。美術館やビーチに行ったり、写真を撮ったりすることができません。家に留まるだけの囚人になってしまいます」と感情的に訴える。

 

しかしそれでもAyahさんは「私はニカーブを取るよりは、家に留まるだけの囚人になる方がましです」と、宗教的信念を貫く意志を伝えている。

 

また彼女は反ムスリムを掲げる人などからの脅迫等を恐れ、フルネームは教えられない、としている。

 

 

今回デンマークで施行された新法と同様の法律は、既にフランスやベルギー、スイスなどで導入されており、今後も類似した法案は欧州諸国に広がっていく可能性が高い。

 

イスラム教徒女性の権利の保護と、欧州の価値観の保護。どちらを選択するかというのは、非常に困難な問題だ。(了)

 

 

出典:The Local Denmark:Photo of Danish policewoman and Muslim hugging at demonstration goes viral(8/3)

出典:CNN Japan顔ベール着用で罰金刑、初めての適用 デンマーク(8/4)

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