エジプト人の頭蓋骨がオークションに出品され、国会議員が批判【イギリス】
イギリスで、オークションに古代エジプト人の頭蓋骨が多く出品され、その後取り下げられることになった。(アイキャッチはイメージ)
紀元前1500年頃の頭蓋骨
先日、イングランド南西部の町、ドーセットにあるオークション・ハウス「Semley Auctioneers」に、古代エジプト人の頭蓋骨18点が出品されたという。
その頭蓋骨は、男性10人、女性5人、性別不明3人のもので、紀元前1550年から紀元前1292年のものと考えられている。
しかしアフリカへの賠償に関する全党議員団の議長であるベル・リベイロ・アディ下院議員は、「人間の尊厳に対する重大な侵害」であると非難。
その結果、オークション・ハウス側は頭蓋骨の出品を取りやめたそうだ。
1800年代にイギリス人が収集
この頭蓋骨は、1884 年にオックスフォード大学のピット リバーズ博物館を設立した、イギリス人の軍人・考古学者であったオーガスタス・ヘンリー・レーン・フォックス・ピットリバーズ氏によって収集されたという。
ピットリバーズ氏はドーセットにある自分の私設博物館にこの頭蓋骨を展示していたが、コレクションの1部は、その後彼の孫によって売却されたそうだ。
イギリスには遺体の保管、処理、展示に関して厳しい規制があるが、人体の一部は違法に入手されたものでない限り、誰でも所持したり、売買したりできるという。
しかし今回、頭蓋骨がオークションに出品されたことについて、アディ下院議員は次のように非難した。
「この卑劣な取引は、搾取、植民地主義、非人間化という暗い遺産を永続させています。これは人間の尊厳に対する重大な侵害であり、不当に命を奪われた人々、あるいは終の眠りの地を冒涜された人々の記憶に対する侮辱です」
その上でアディ下院議員は、このような慣行を終わらせ、遺骨が敬意を持って母国に送還されるよう、強く求めたという。(了)
出典元:The Guardian:Dorset auction house withdraws Egyptian human skulls from sale(5/1)