国連、ガザ地区で殺されたパレスチナ人の女性と子供の割合を下方修正
国連は、ガザ地区でイスラエル軍によって殺害された、女性と子供の割合を下方修正した。
全体の死亡者数は変わらず
国連は5月6日、ガザ地区で死亡したパレスチナ人のうち、69%が女性と子供だったと発表。しかし2日後の8日には、女性と子供の割合が52%だったと下方修正した。
国連は、イスラエル軍により殺害された死亡者数に関し、ガザ地区の保健当局の数字に依存しており、現在すでに3万5000人以上が犠牲になっているが、この全体の死亡者数に変わりはないと認識しているという。
ただ女性と子供の割合の下方修正については、「情報が不完全だったため、今回の改正に至った」と発表している。
イスラエルの外相は、この下方修正を受け、「国連が、テロ組織からの偽データに依存している」と非難したそうだ。
ガザ保健当局の数値を採用
ガザ地区での死亡者数については、「ハマス」が運営するメディア局(GMO)と、ガザ地区の保健当局により、それぞれ別々に発表しているという。
国連は、死亡者について、以前はGMOの数字を引用していたが、現在ではガザ保健当局の数字を採用しているそうだ。
そしてガザ保健当局は、昨年10月の侵攻当初、病院で詳細が記録された死亡者のみを報告していたが、昨年11月からはGMOが報じた信頼できる死者数、そして家族がオンラインフォームに記入した死者数も含めるようになったという。
つまりガザ保健当局が現在、統計に取り入れているのは「病院で記録された死亡者数」と「家族から報告された死亡者数」、そして「信頼できるメディア報道による死者数」となっている。
民間人の死者数を示すもの
GMOは、ガザ保健当局よりも、女性や子供の死亡者数を高く報告する傾向にある。
国連もGMOの数値を参考にして5月6日には、3万4735人の死亡者のうち、女性が9500人、子供が1万4500人だったと報告した。
しかし2日後には、女性の死者数が4959人、子供の死者数を7797人とし、大幅に下方修正した。
殺害された女性と子供の数については、多くの場合、民間人の死亡者数を示すものとして解釈されるため、重要な指標となる。
全体のパレスチナ人の死者数については、イスラエル側もほぼ同様の認識を示しており、最近ネタニヤフ首相も、ガザ地区で約3万人が殺害され、そのうち1万4千人が「テロリスト」、1万6千人が民間人であると述べた。
しかしネタニヤフ首相は、その割合の根拠を示していない。(了)
出典元:BBC:Gaza war: Why is the UN citing lower death toll for women and children?(5/16)