ロシアがパリ五輪を標的にフェイク情報を発信、動画で偽のトム・クルーズを起用
ロシア政府が、パリ五輪をターゲットにして、偽情報キャンペーンを行っていると、マイクロソフト社が警告している。
ディープ・フェイクの声を使った動画
マイクロソフト社によれば、ロシア系団体のネットワークが、フランスのパリ五輪やマクロン大統領、国際オリンピック委員会を批判するため、悪意のある偽情報を広めているという。
実際、昨年末には、ディープ・フェイクのトム・クルーズの声を使い、IOCを批判する奇妙なドキュメンタリー動画も作られ、テレグラムに投稿されたそうだ。
その動画のタイトルは、ジェラルド・バトラー主演のアクション映画「エンド・オブ・ホワイトハウス(原題:Olympus Has Fallen)」を真似て、「Olympics Has Fallen」となっており、Netflixによって製作されたかのように見せかけていたという。
マイクロソフトの脅威分析センターは、6月2日に発表した報告書で、フェイクのドキュメンタリー動画について、次のように述べている。
「このビデオは、コンテンツの作成者がプロジェクトにかなりの時間を費やし、私たちが観察しているほとんどの影響力キャンペーンよりも、優れたスキルを持っていることを明らかに示しています」
ロシア政府と繋がりのある組織が製作
この動画を製作したのは、ロシア政府と繋がりのある組織「Storm-1679」と考えられている。
このグループは1年間、オリンピック開催中にテロが起きるといった、人々に恐怖を広める一連の動画も製作。
動画ではパリ市民がテロ攻撃に備え、「財産保険に加入している」や「テロの恐怖から、チケット4分の1がキャンセルされ、払い戻しされた」といった偽情報を流していたという。
しかもこの動画は、有名な放送局「Euro News」と「France24」になりすましたものだったとされている。
また「Storm-1679」のSNSアカウントには、パリでの落書きの写真が投稿され、そこにはパリ五輪に参加するイスラエル人を脅かす内容が描かれていたそうだ。
その落書きはAIで生成されたと考えられているが、そこでは1972年のミュンヘン・オリンピックで、テロリストによりイスラエル人の選手11人が殺害されたことも言及されていたという。(了)
出典元:The Guardian:Russia targets Paris Olympics with deepfake Tom Cruise video(6/3)