イスラエル軍が再び、国連レバノン暫定軍へ攻撃、戦車が監視塔を砲撃
イスラエル軍が再び、レバノン南部に駐留する国連の平和維持軍へ攻撃を行った。
監視塔が損傷、カメラも破壊
国連レバノン暫定軍(UNIFIL)によれば、10月16日の朝、イスラエル軍はレバノン南部の町、Kafer Kela近くにある基地に攻撃を加えたという。
イスラエル軍の戦車は、国連レバノン暫定軍の基地にある監視塔に向けて砲撃。監視塔が損傷し、カメラ2台も破壊されたそうだ。
すでに先日からイスラエル軍は、国連レバノン暫定軍の基地に攻撃を加え、ゲートを破壊し、侵入を試みている。これらの攻撃により、国連レバノン暫定軍の兵士、5人が負傷した。
イスラエル軍は、国連レバノン暫定軍に対し、基地から撤退するよう命じているが、国連レバノン暫定軍の方は、その要請を拒否。基地内に留まると主張し続けている。
EU「最大限の政治的・外交的圧力をかける」
イタリアとフランスは10月16日、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に兵士を派遣しているEUの16カ国間で、テレビ会議を開催した。
この会議において出席した閣僚らは、イスラエルの国連平和維持軍への攻撃を強く非難。さらに、このような攻撃を防ぐために、イスラエルに最大限の政治的・外交的圧力をかけるという共通の意志を表明したという。
レバノンの市議会を空爆、市長が死亡
レバノン保健省は10月16日、イスラエル軍が南部の町、Nabatiehの周辺地域を11回も空爆し、自治体の建物も攻撃され、16人が死亡、52人が負傷したと明らかにした。
当時、建物の中では会議が開かれており、市長と少なくとも出席していた4人が死亡したという。
レバノンのナジブ・ミカティ暫定首相は、イスラエル軍が市議会の会議を「意図的に標的にした」として強く非難した。
一方、イスラエル側は証拠を示さず、この攻撃について、民間人に紛れている「ヒズボラ」の拠点を標的にしたと発表している。
Israel just carried out at least ten air strikes on Nabatieh, one of South Lebanon’s main cities, allegedly destroying the crisis management hub and killing the mayor and several municipality members.
This ongoing trend of assaulting civilian institutions and humanitarian… pic.twitter.com/5MUZa22afv— Michel Helou | ميشال حلو (@michelhelou_lb) October 16, 2024
またイスラエル軍は、レバノン南部・ベカー渓谷(高原)の町、Yammounehにある2階建ての建物も空爆。これにより地元の女性と、避難していた2人が殺害された。
さらにイスラエル軍は、レバノン南部を通るRayak-Baalbekハイウェイも攻撃し、2人が死亡、9人が負傷。また爆弾がレバノン軍の車両近くにも落ちたため、兵士数人が負傷したという。
「ヒズボラ」側も報復として、イスラエル北部の町、Safedに対して、ロケット弾の一斉攻撃を行ったと明らかにした。
英政府がイスラエルの閣僚に制裁を検討
イギリス政府は、ネタニヤフ政権の閣僚で、極右政治家のベザレル・スモトリッチ財務大臣と、イタマール・ベン・グヴィル国家安全保障大臣に対し、制裁を検討しているという。
スモトリッチ財務大臣は以前、ガザ地区で200万人のパレスチナ人を飢えさせるのは「正当で道徳的」であると述べており、ベン・グヴィル国家安全保障大臣も、ヨルダン川西岸地区でパレスチナ人を殺害したイスラエル人入植者を「英雄」と呼んでいた。
イギリスのスターマー首相は、議会で自由民主党指導者から「どのような対応をとるつもりか?」と問われ、「明らかに忌まわしいコメントであるため、我々は制裁を検討しているところだ」と述べたという。
ガザ地区北部は、依然としてイスラエル軍に包囲され、数万人のパレスチナ人が閉じ込められているが、10月16日には2週間ぶりに、食料や衛生用品、粉ミルクなどの支援物資が搬入されたそうだ。(了)
出典元:The Guardian:Middle East crisis live: UN peacekeepers in Lebanon criticize ‘apparently deliberate’ attack by Israeli forces(10/16)