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米最高裁、トランプ政権に対し、エルサルバドルに誤送還された男性を帰国させるよう命令

米最高裁、トランプ政権に対し、エルサルバドルに誤送還された男性を帰国させるよう命令
X_John McCarthy

アメリカの連邦最高裁は、誤ってエルサルバドルの刑務所に強制送還された、男性を帰国させるよう判断を下した。

 

行政手続き上の「ミス」で強制送還

 

その男性とは、メリーランド州在住のキルマー・アブレゴ・ガルシア氏だ。

 

エルサルバドル出身の彼はギャングから逃げるために、アメリカへ移住。2019年には裁判所から「保護措置」がとられ、メリーランド州で暮らしてきたという。

 

しかし3月12日、移民関税執行局(ICE)の職員に拘束され、トランプ政権の「敵性外国人法」に基づき、3月15日にはエルサルバドルの刑務所へ強制送還された。

 

その後、裁判所からの「保護措置」が確認され、行政手続き上の「ミス」で強制送還が行われたと判明。メリーランド州の連邦地裁は、4月7日までにガルシア氏を帰国させるように命じていた。

 

これに対しトランプ政権は、連邦最高裁に上訴。連邦最高裁は審議に時間を要するとして結論を保留していたが、4月10日にはトランプ政権に対し、ガルシア氏をアメリカへ帰国させるよう命じた。

 

トランプ政権は間違いを認めず

 

この強制送還には、いくつかの重要な問題点がある。まずは連邦地裁が、トランプ政権に対して強制送還を直ちに停止し、送還者を乗せた飛行機を引き返させるよう命じたが、その裁判所の命令が事実上無視されたことだ。

 

トランプ政権の報道官は、判事からの命令があった時、すでに飛行機は離陸しており、引き返せなかったとし、裁判所の命令に背いたわけではないと主張した。

 

次の問題点は、政府も「行政手続き上のミス」だったとし、ガルシア氏の強制送還を「誤り」と認めていたが、トランプ政権の報道官は根拠を示さず、彼が「MS-13」と呼ばれるギャングのメンバーだったと主張し続けてきたことだ。

 

 

しかもトランプ大統領でさえ、演説でガルシア氏が「MS-13」のメンバーだったと主張し、「我々は彼(ガルシア氏)には、戻ってほしくない」とまで述べ、自らの誤りを認めようとはせず、逆に判事らを非難した。

 

ガルシア氏の強制送還は「違法」

 

もっとも今回の連邦最高裁の判断でも、ガルシア氏が「MS-13」のメンバーだったか、またアメリカ国民への潜在的な脅威となっているか、という点が依然として争点となっていることを認めている。

 

しかし連邦最高裁の9人の判事は全員一致で、トランプ政権によるガルシア氏のエルサルバドルへの誤った強制送還は「違法」であると断じた。

 

この判断を受け、ガルシア氏の弁護士であるサイモン・サンドバル=モシェンバーグ氏は、ABCニュースに対し、次のように述べた。

 

「法の支配が勝利した。最高裁は、キルマー(ガルシア氏)を本国(アメリカ)に戻さなければならないという地方判事の命令を支持した。政府は時間を無駄にせず、行動を起こすべきだ」(了)

 

出典元:ABC News:Supreme Court upholds order requiring Trump administration to return Maryland man from El Salvador(4/10)

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