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インドで路上から野良犬を排除する計画を変更、抗議活動を受け

インドで路上から野良犬を排除する計画を変更、抗議活動を受け
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インドの首都・デリーでは野良犬を保護施設に入れる方針が示されたが、抗議活動を受け、それが変更された。

 

それぞれの地域に放されるべき

 

インドの最高裁判所は8月11日、首都のデリーとその郊外の当局に対し、すべての野良犬を捕獲し、保護施設に収容するよう命じた。

 

これは犬による襲撃や、蔓延している狂犬病から子供たちを守るための措置とされたが、動物愛護団体などによる広範な抗議活動を受け、命令を修正。

 

最高裁判所は8月22日、野良犬はワクチン接種と不妊手術を受けた後に、それぞれの地域に放されるべきだとした。

 

ただし狂犬病や攻撃的な行動を示す野良犬は、ワクチン接種を受けた後、保護施設に収容されるべきだと命じた。

 

動物愛護団体も修正を歓迎

 

人口3500万人のデリーには、推定100万匹もの野良犬が生息しており、世界保健機関(WHO)によると、インド全土での狂犬病関連の死亡者数は、世界全体の36%を占めているという。

 

当初、最高裁判所の決定に対し、動物愛護団体などは、全ての野良犬を保護施設に収容することは過密状態や殺処分といった問題につながると警告したそうだ。

 

この異議申し立てを受け、最高裁判所は審理をし直し、全ての野良犬を捕獲するという以前の命令を差し止めた。

 

動物福祉団体PETAは、「この判決は、大多数の人々が地域犬を愛すべき隣人であり、友人と考えていることを示しています。不妊手術とワクチン接種への新たな焦点が当てられることで、インドの他の地域でも、飢え、事故、路上での虐待に苦しむ犬がいなくなる日が近づくでしょう」と述べたという。

 

また裁判所は、野良犬に安全に餌を与え、健康状態を監視し、人間との衝突を減らすことを目的として、市当局に野良犬用の餌場を設置するよう指示したそうだ。

 

しかし専門家は、このような餌場は管理が難しく、犬の喧嘩を引き起こす可能性があり、多くの自治体には効果的に運営するためのインフラが不足していると指摘した。

 

ヒンドゥー教の伝統では、野良犬はシヴァ神の化身、獰猛で守護的な側面を持つバイラヴァ神と結び付けられており、彼らに餌を与えることは親切な行為とみなされ、守護と幸運をもたらすと信じる人もいるという。(了)

 

出典元:The Guardian:India scales back plan to remove stray dogs from streets of Delhi(8/22)

出典元:BBC:India top court shelves plan to lock up Delhi’s one million street dogs(8/22)

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