米がベネズエラ沖で2隻目の石油タンカーを拿捕、軍事衝突への懸念

アメリカ軍と沿岸警備隊は、ベネズエラ沖で2隻目の石油タンカーを拿捕した。
原油を輸送していた船を拿捕
アメリカの国土安全保障省によれば、沿岸警備隊と国防総省が12月20日の早朝、ベネズエラ沖の国際水域で、原油を輸送していた2隻目の商船を拿捕したという。
このタンカーはパナマ船籍の「センチュリーズ」号とみられ、カリブ海のバルバドス東方で拿捕され、アメリカの制裁対象になる船舶リストには掲載されていなかったようだ。
アメリカの沿岸警備隊は12月10日にも、ベネズエラ沖で石油タンカーの「スキッパー」号を拿捕しており、両船ともアジア方面に向かっていたと言われている。
クリスティ・ノーム国土安全保障長官は、「X」への投稿で、「アメリカは、この地域における麻薬テロの資金源となっている、制裁対象の石油の不法な移動を今後も追及していく。我々は必ずあなた方を見つけ出し、阻止する」と述べた。
In a pre-dawn action early this morning on Dec. 20, the US Coast Guard with the support of the Department of War apprehended an oil tanker that was last docked in Venezuela.
The United States will continue to pursue the illicit movement of sanctioned oil that is used to fund… pic.twitter.com/nSZ4mi6axc
— Secretary Kristi Noem (@Sec_Noem) December 20, 2025
制裁逃れの「影の船団」
このような制裁逃れの船舶は、「影の船団(shadow fleet)」と呼ばれており、最近その数が爆発的に増え、移動範囲も広がっているという。
「影の船団」は、ロシアやイラン、ベネズエラが西側諸国の制裁を回避するための船で、中国やインドなどに石油などを輸送していると言われている。
またアメリカが拿捕した「スキッパー」号は、財務省が2022年に制裁対象としたタンカーで、イラン革命防衛隊と「ヒズボラ」のために石油を密輸していたとの疑惑が浮上していた。
このような船団は数が増えており、今年エストニアとフランスも、ロシアの「影の船団」に属すると疑われる船舶を拿捕。ウクライナも先日、地中海沖でロシアの石油タンカーへ攻撃を行った。
「影の船団」は所有者が不明瞭で、国旗も頻繁に変えてきたが、ロシアは最近、これらのタンカーの一部に自国の国旗を掲げ始めた。そしてロシアがタンカー保護のために軍事力を使用する意思を示していることから、専門家は軍事衝突のリスクを警告している。(了)
出典元:The Guardian:US intercepts second merchant vessel off coast of Venezuela in international waters(12/20)
出典元:The Guardian:Alarm over ‘exploding’ rise in use of sanctions-busting shadow fleet(12/21)

























