アフリカ大陸を横断する大規模緑化計画、「巨大な緑の壁」プロジェクトとは?
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現在、アフリカの中央部で、想像を絶する大規模な緑化プロジェクトが進められているのをご存知だろうか。
東西13カ国に及ぶ森のベルト地帯
このプロジェクトは「Great Green Wall(巨大な緑の壁・長城)」と呼ばれており、サハラ砂漠の南端、「サヘル」と呼ばれるエリアで2007年から行われているという。
「緑の壁」というのは「森林のベルト地帯」の意味で、この地域の砂漠化を食い止め、潤いのある土地に変えるため、多くの木々を植える試みとされている。
驚くのはその規模だ。もしこの「緑の壁」が完成すれば、幅は約15km、長さは約8000kmにもなり、西のセネガルから東のジブチまで13カ国をわたりアフリカ大陸を東西に横断して広がることになるそうだ。
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砂漠化が移民問題を引き起こす?
このプロジェクトを進めているのは、アフリカの団体「Sahara and Sahel Great Green Wall Initiative(SSGGWI)」。2016年に公開された動画によれば、このエリアにあるセネガルは以前、緑の豊かな土地だったという。
しかし環境破壊や乾燥によって砂漠化が進み、以前よりも木々が減り、降水量も減少するなど気候も変化してきたそうだ。これにより土地は乾き、動物たちは死に、穀物も育たなくなったと動画では語られている。
そのためこの土地を離れ、砂漠を越えて地中海へ出て、家族を養うためにヨーロッパへ向かう若者たちもいるという。
しかし地中海を渡ってヨーロッパへ移住する旅は、非常に危険で死と隣り合わせ。多くの人々が海を渡る以前に悲惨な状況に追いやられ、海でも多数が犠牲となっている。
しかもヨーロッパでは大量の移民が押し寄せていることで、大きな問題となっており、解決策も見い出せていない。
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完成すれば住民が望む全てが叶う
この「Great Green Wall」は拡大するサハラ砂漠の南進を食い止め、同時にこのエリアの広大な土地を農業に利用できることを目的としている。そして現在も人々が乾燥に強いアカシア科などの木々の苗を植え、干ばつや土壌劣化を防ぐために「緑の壁」の「建設」を進めているという。
動画によればもしこれが実現すれば、現地の人が食べ物や飲み水、そして作物を市場で売ってお金を稼ぐことなど、必要なものを全て手に入れることができるそうだ。
実際、この計画は最終的には1億ヘクタールの土地を農地として回復させ、2000万人分の食料を供給し、35万の仕事を生み、2030年までに2億5000万tもの二酸化炭素の排出量を削減することまで目指している。
そして2016年時点では、全体の15%の植林が完成したという。
これまでに例がないほどの大規模な緑化プロジェクト。アフリカの人々のためにも、成功することを願う。(了)
下は360度の風景が見渡せる動画となっている。
出典元:LANDSCAPE NEWS:Africa’s Great Green Wall: A work in progress(8/3)