米国のレストラン食事代に追加料金が設定される、その理由は気候変動?
米国カリフォルニア州で、レストランの食事代に“気候変動”に対処するための追加料金が導入されるとして、注目を集めている。
飲食店での追加料金で二酸化炭素減少を支援
この気候変動に対処するための追加料金設定は、「Restore California Renewable Restaurant」という名のプログラムの一環として行われるもの。
このプログラムでは、参加する飲食店側が客に対し1%の追加料金を請求することが可能となっており、客から支払われた追加料金はプログラムに対する資金提供を行う「California Air Resources Board」において、二酸化炭素減少に取り組む農家を援助する目的のために利用される。
「California Air Resources Board」は米国において農場の経営を行うと共に、環境に優しい土壌の利用促進を行っているという。
レストラン成功でも気候変動に危機感を抱く
このプログラムを立ち上げたのは、非営利団体「Perennial Farming Initiative」の創立者であり、自らもレストラン「Mission Chinese Food」を経営するAnthony Myint氏だ。
Myint氏の店「Mission Chinese Food」は、米国ニューヨークとサンフランシスコに店舗を持ち、2013年には飲食関連情報誌「Bon Appetit」において、“米国における最も重要なレストラン20選”に選ばれている。
そんな輝かしい成功を収めたMyint氏にとって転機となったのは、7年前に娘が生まれたこと。
これによりMyint氏は、娘の将来のためどのように世界を気候変動から守ればよいのか真剣に考えるようになったという。
そして2013年に同氏が立ち上げたのが、「Zero Foodprint」と呼ばれるプロジェクトだ。
この目的はレストランによる二酸化炭素排出量を相殺するもので、これには世界各国の27ものレストランが参加してきたという。
「気候変動の問題は明らかに深刻で、将来の世代は逃れることができない」と語るMyint氏。
「我々は料理人として正しいことを行いたいと感じており、オーガニック製品や直売所で食品を購入しているが、これが十分であるとは本当に感じられない」
追加料金の支払いはあくまで任意
今回新たにMyint氏が立ち上げたプログラム「Restore California Renewable Restaurant」においては、環境問題に対して取り組みを行うレストランを増やすことが目標だ。
またレストランの窓やホームページ上で、プログラムのロゴが掲げられることもMyint氏は期待しているという。
一方、今回のプログラムにおける追加料金の支払いはあくまで任意。
気候変動を信じていなかったり予算が厳しいといった様々な理由によって、客側は自由意志により追加料金の支払いを断ることが出来る。
ただ参加する飲食店を訪れる全ての客が、追加料金を支払った場合、飲食店で発生する二酸化炭素を相殺するのには十分な額に達するという。
「最初から1回に数セント(数円に相当)という設定で、気候変動に対し我々の全てが取り組むということは、強力なことだと考えている」
ただでさえ高額となることの多いレストランでの飲食の際に、さらに追加料金を支払わなければならないとなると敬遠してしまう人も多いかもしれない。しかしそのような中でも、環境問題に取り組むためのものとなれば、支払ってみる価値はありそうだ。(了)
出典:CNN:California restaurants can now add a 1% surcharge to help fight climate Change(4/26)
出典:Fox News:California restaurants may add climate change surcharge: ‘We as chefs want to do the right thing’(4/25)