「もはやAIには勝てない」韓国の囲碁棋士が引退を発表
囲碁の元世界チャンピオンだった韓国人の棋士が、先日引退を発表した。その際に語られた言葉が注目を集めている。
2016年の対局でAIに敗れる
その棋士とは、イ・セドル(李世乭)9段(36)。彼は以前、世界大会で何度も優勝した経験を持つ棋士だという。
イ氏は11月19日に、引退すると発表し、韓国棋院に辞表を提出。その理由について「もはやAIを打ち負かすことはできないからだ」と答えたそうだ。
実際、イ氏は2016年にGoogle DeepMindが作り上げたAIプログラムの「AIphaGo」と5回対局し、負けている。ただし今回の辞職の理由はそれだけではないようだ。
イ氏は韓国棋院との間で会費の使用について対立しており、そのことが今回の引退の判断に影響を与えたことを否定していない。
Lee Sedol retirement reported worldwide – https://t.co/RmiDIWLA1y pic.twitter.com/bI3nsgMQXr
— American Go Assoc. (@theaga) November 28, 2019
Huge milestone in AI! AlphaGo beats the world champion Lee Sedol! We made history! What an incredible moment! 🙂 pic.twitter.com/Un4imciEYS
— Mustafa Suleyman (@mustafasuleymn) March 9, 2016
過去18回も世界チャンピオンに輝く
実は、イ氏は過去18回も世界大会で優勝しており、自国内の大会でも32回も優勝。現代の囲碁界においてもっとも偉大な棋士の1人と考えられてきたそうだ。
しかし2016年の「AIphaGo」との対局では5戦のうち、1勝4敗で負けてしまう。
そのためイ氏は聯合ニュースに対して「囲碁ができるAIの登場は、自分自身を一番だと認めることができない気持ちにさせた」とした上で、次のように述べたという。
「囲碁の世界にAIがデビューしてから、例え必死に努力をしてNO1になったとしても、もはや自分は1番ではないと、ずっと認識してきました」
2016年に行われた「AIphaGo」との対局は、人工知能の開発において記念に残る出来事だったとされている。
実際、囲碁が複雑なため、当時は専門家でさえAIが人間を打ち負かすには、少なくともあと10年はかかると見ていたという。
またイ氏は最後の試合を、「AIphaGo」のライバルである、HanDol(韓国のテック企業NHN Entertainment社が作ったAI)との最後の試合で飾るつもりでおり、その対局にも注目が集まっている。(了)
出典元:METRO:World champion Go player retires because AI is now unbeatable(11/29)
出典元:YONHAP NEWS AGENCY:(Yonhap Interview) Go master Lee says he quits unable to win over AI Go players(11/27)