狼に囲まれる呪われた城に2カ月以上も!ボリビアのオーケストラ、新型コロナによりドイツで恐怖の足止め
新型コロナウイルス感染拡大により、ドイツでは3月中旬よりロックダウンが敷かれている。
そんな3月に演奏会のためドイツへと到着したボリビアのオーケストラが、狼に囲まれた“呪われた城”で今も足止めを食らっているとして、話題となっている。
到着と同日に起きた悪夢…ロックダウンに国境閉鎖で完全に足止め
ドイツで足止めを食らっているとして話題となっているのは、ボリビアのパンフルートを中心としたオーケストラ、「Orquesta Experimental de Instrumentos Nativos」だ。
同オーケストラの20人を超えるメンバーがドイツへと到着したのは、3月10日のこと。
予定通りであれば、彼らはベルリンで開催される現代音楽の祭典「MaerzMusik」で公演を行うはずだった。
ところが新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ベルリンではオーケストラが到着したのと同日の10日より、1000人以上が集まる集会やイベントを禁止する措置が始まってしまった。
さらにその後数日間にドイツ国内全土でのロックダウンも始まり、続いて彼らの祖国であるボリビアも国境を閉じてしまう。
これによりオーケストラはベルリンからほど近い場所にある滞在先のラインスベルク城で足止めを食らうこととなってしまった。
オオカミの住処に囲まれる呪われた城
しかし彼らの受難はそれだけには留まらなかった。
なんとオーケストラの滞在先であるラインスベルク城は“呪われた城”として悪名高い城であった共に、その周囲に広がる森がオオカミの住処となっていたのだ。
城に滞在し始めてから2カ月以上の間、オーケストラは城内で最大6時間もの間練習を行ったり、森を歩いたりして時間を過ごしているというが、その間に体験した恐ろしい数々の出来事を複数のメンバーが伝えている。
昨年12月にオーケストラへと加入したというTracy Pradoさんは、城の周囲を散策していた際に3匹のオオカミに遭遇し、「恐怖で凍り付いた」という。
ただ「しかし彼らはじゃれ合っていただけで、移動していきました」とのことで、幸い大事には至らなかったようだ。
またCamed Martelaさんは、幽霊が後を付けてきて悪さをしようとしている、といったジョークをオーケストラの皆で飛ばしていることを明かす。
Camedさん自身としては通常そのようなことは信じないとしつつも、「現地には幽霊がいるかのように感じます」としている。
フリードリヒ大王が住んだことで知られる城
彼らが滞在するラインスベルク城は600年もの歴史を持ち、ドイツの王侯貴族も暮らした由緒ある城として知られる。
その住人の中でも最も有名なのがプロイセン王フリードリヒ2世だ。
18世紀にプロイセン王を務めたフリードリヒ2世はその在任中、国家の強大化に力を注ぎ、その功績から“フリードリヒ大王”と尊称される一方、フルート演奏に長けるなど芸術にも深い造詣を有していた。
フリードリヒ2世が父から所有権を受け継ぎ、ラインスベルク城で過ごすようになったのは1736年のこと。
彼は毎晩のように宮殿のサロンでコンサートを開催し、その場に招かれた音楽家の中には“音楽の父”と形容されるJ.S.バッハの末の息子であり、父と同じく音楽家のJ.C.バッハも含まれていたという。
フリードリヒ2世は、城で過ごしたこのような日々について“最も幸せ”であったとの言葉を残している。
一方、ラインスベルク城に“取り憑いて”いると考えられているのもフリードリヒ2世だ。
ひょっとしたら彼は城での幸せな日々に思いを馳せるあまり、その地を離れられなくなってしまったのかもしれない。
他方で今もラインスベルク城に取り残されるオーケストラは、6月初頭にボリビアへと帰国することを画策しているという。
周囲をオオカミが暮らす森に囲われ、フリードリヒ大王の幽霊が彷徨う城で“Stay Home”することとなってしまったオーケストラ。彼らが祖国ボリビアまで無事に帰国できる日が訪れることを願うばかりだ。(了)
出典:Classic FM:Coronavirus trapped Bolivian orchestra in ‘haunted’ German castle surrounded by wolves(5/26)
出典:BBC:Coronavirus: The Bolivian orchestra stranded in a German castle(5/22)
出典:Mysterious universe:Orchestra Stranded At Haunted Castle Surrounded By Wolves(5/25)