コロナで死にゆく母を看取るため、病院の外壁を登った男性が話題に
新型コロナウイルスに感染した73才の母親が危篤状態に陥った時、病室に入ることを許されなかった息子は、外壁をよじ登り、窓越しに母の最期を看取った。
感染防止のため面会できず
これは中東・ヨルダン川西岸地区の町Beit Awaであった出来事。
同地区に住むパレスチナ人男性Jihad Al-Suwaitiさんの母親は、新型コロナウイルスに感染していた。彼女は73才という高齢、しかも白血病を患っていたこともあってか、病状は急激に悪化し、集中治療室に入った。
これが最後かもしれない、と感じたAl-Suwaitiさんは母親と面会したかったが、隔離された患者との接触は許されていない。
そこで彼は、病院の外壁をよじ登り、病室の窓の外から死にゆく母を見守った。後に海外メディアの取材を受けたAl-Suwaitiさんはこう言う。
「僕はなすすべもなく集中治療室の窓の外側に座り、母の最期をただ見ていました」
母の容態が悪化したという知らせを受けたAl-Suwaitiさんは、集中治療室に入ろうとしたが許可されなかったという。結局彼は、窓の外からさよならを言うことしかできなかった。
母親のRasmi Suwaitiさんは7月16日、Al-Suwaitiさんが窓に登ってまもなく息を引き取ったと報じられている。
悲しくもあり、勇気づけられもする
窓の外に座るAl-Suwaitiさんの写真が、フランスのメディア「AJ+ français」のFacebookでシェアされると、この話は瞬く間に拡散された。多くの人が胸を打たれ、「喉が詰まり涙が出た」「素晴らしい息子だ」「悲しい話だが、同時に勇気づけられもする」といったコメントを書き込んでいる。
人権擁護活動家であり、国際連合経済社会理事会の永久メンバーでもあるMohamad Safa氏もツイッターで写真をシェアし、こうコメントする。
COVID-19(新型コロナウイルス)に感染したパレスチナ人女性の息子が、毎晩彼女の病室まで登り、息を引き取るまで見守った。
The son of a Palestinian woman who was infected with COVID-19 climbed up to her hospital room to sit and see his mother every night until she passed away. pic.twitter.com/31wCCNYPbs
— Mohamad Safa (@mhdksafa) July 18, 2020
「AJ+ français」のFacebook投稿には、登る途中のAl-Suwaitiさんの姿もある。
Pour accompagner sa mère atteinte du COVID-19, Jihad Al-Suwaiti grimpait le mur de l’hôpital de Hébron en Cisjordanie…
(了)
出典元:NDTV:He Scaled A Hospital Wall To Say Goodbye To His Mother, Who Died Of COVID(7/20)
出典元:Al Nas:L’incroyable geste d’un Palestinien pour voir sa mère atteinte du Covid-19 une dernière fois(7/19)