事故現場で子供を抱く消防士、彼が語った仕事の理由が胸を打つ
交通事故現場で幼い子供を抱く消防士、Chris Blazekさんの写真がネットや海外メディアで話題になっている。
その理由は、写真の場面に到るまでのリアルなストーリーだ。それを綴った投稿文や、メジャーメディアの取材内容には、現実の消防士の仕事の大変さと、やりがいがよく表れている。
火事現場から戻るとすぐの出動
米国テネシー州チャタヌーガ市の消防士Chris Blazekさんはその日、火災現場の消火作業から消防署に戻ったばかりだった。一軒家を包む高温の炎と3時間以上格闘し、とりあえず火の勢いが収まったので戻って来たのだった。
疲れ切った体を引きずるようにしてシャワーに入ると、ろくに汗を流す間もなく出動警報が響き渡った。ハイウェイで交通事故があり、事故車には妊娠中の母親と3人の子供が乗っているという。
「どんなに仕事に慣れても、あの警報の音を聞くと心臓がドキリとするものです」と38才のBlazekさんは海外メディアに話している。
シャワーから飛び出したBlazekさんは、火災現場で汚れたままの服を着て出動した。
ショックで泣きやまない幼子
Blazekさんの消防隊が、署から600メートルほど離れた事故現場に到着すると、妊娠中の母親はパニック状態に陥り、背中と腹部の痛みを訴えていた。母親が救急車に乗せられている間に、Blazekさんは3人の女の子を事故車の外に出した。
3人とも無傷で、7才と4才の子は精神状態もしっかりしていたが、4ヶ月の幼子はショックに耐えられず、大声で泣き続けていたという。
「あらん限りの力で声を張り上げて泣き叫んでいました」とBlazekさんは言う。
だが、Blazekさんがその子を抱き、怪我のないことを確かめながらしばらくじっとしていると、子供は泣き止んだ。
「彼女(子供)は僕の肩に頭を乗せ、抱きついてきました」とBlazekさん。彼自身にも4人の娘がいる。
私がこの仕事をする理由
事故現場の処理がひと段落してから、疲れ切っていたBlazekさんは子供を抱いたまま地面に座り込んで休んだ。気持ちの落ち着いた子供は眠り始めていた。
その場面を同僚の消防士が写真に撮っていたが、Blazekさんは気づいていない。
後ほど子供の父親と祖母が現場に到着し、3人の子供を無事に家に連れ帰ったとのことだ。病院に運ばれた母親のWhittley Hightowerさんに大きな怪我はなく、お腹の中の子供も無事だった。
消防署が6月4日にFacebookに掲載した写真は、これまでに1万2000人が「いいね!」し、8000回以上シェアされている。
投稿文の中には、Blazekさんのこんな言葉がある。
私がこの仕事をする理由を思い出させてくれるのは、こんな瞬間なんだ
Blazekさんを賞賛する1300件以上のコメントの中には、助けられた母親Hightowerさんのものもある。
3人の子供のために現場に居てくれたことを、心から感謝します。私たち家族にとってあの事故はとても恐ろしい出来事でした。あなたに神の祝福がありますように。
(了)
出典元:Today:Firefighter calms crying baby girl after car accident: ‘This is why I do the job’(6/6)
出典元:The Washington Post:The story behind this viral photo of a firefighter who calmed a hysterical baby(6/6)