中国の大物スパイが米に亡命か?「研究所流出説」の証拠を所持との噂が広まる
中国の大物スパイとみられる人物が、アメリカに亡命し、新型コロナウイルスの起源についての証拠を持っているといった、噂が広まっている。
SNSやメディアなどで噂が浮上
そのスパイとは、中国共産党・国家安全部の副部長である董経緯(董经纬)氏だ。
彼は2月10日に、娘さんとともに香港を飛び立ち、アメリカに渡ったと報じられている。
この噂は、情報機関を専門とした調査報道を行う「SpyTalk」の報道や、中国人のツイッターなどで浮上したという。
その報道では董氏は、新型コロナウイルスが武漢の研究所から漏れ出て、パンデミックが起きたとする証拠を持っていたと伝えているそうだ。
中国でシンポジウムを主催したとの報道
しかしその後、中国国営の新華社通信は18日、董氏がスパイ防止に関するシンポジウムを主宰したと報じ、噂の火消しにかかったという。
また香港のメディア「チャイナ・モーニング・ポスト」もシンポジウムでの董氏の発言を引用し、彼が「敵のスパイを取り締まるよう、国の情報機関の職員に要請した」と報じた。
しかしいずれの記事も、中国共産党の法執行機関からの情報をソースとしており、シンポジウムに参加した董氏の写真や開催場所は掲載されていない。
このため亡命に関する噂は、逆に後押しされたと言われている。
中国の元外務省職員の見方は?
一方、天安門事件後に亡命した、中国の元中国外務省職員のHan Lianchao博士は、「北京政府はこれまで董氏の出演を恥ずかしげもなく公表してきたので、写真がないのは疑わしい。噂に反論するために、董氏の最近の写真を掲載しない理由はない」と述べている。
またLianchao博士によれば、董氏は2020年9月を最後に、公の場に姿を見せていないという。
元米国防総省、国務省、CIAの中国専門家であるNicholas Eftimiades氏は、「北京は明確な否定をしておらず、董氏を公には出していないことが重要である」と述べている。
ただ「SpyTalk」は6月23日(日本時間)の記事で、米国政府関係者の「董氏の亡命の報道は事実ではない」「彼がどこにいるかについては、確認も否定もできない」といった言葉を報じている。
どこまでが真実なのかも分からず、まだ噂の段階に過ぎないため、状況を注視していきたい。(了)
出典元:METRO:Top Chinese spy ‘defects to US to share secrets about origins of Covid’(6/22)
出典元:SpyTalk:Feds: We Don’t Have Chinese Defector Dong Jingwei (6/23)