カナダでビクトリア女王の銅像が倒される、先住民の子供の遺体発見を受けて
カナダで、過去の先住民族への政策に対する抗議から、イギリスの女王の銅像が倒された。
エリザベス2世の銅像も倒される
7月1日、マニトバ州の州都・Winnipegにある、イギリスのビクトリア女王の銅像が、抗議デモに参加していた人々によって引き倒された。
また、そばにあったエリザベス2世(現在のイギリスの女王陛下)の小さな銅像も、同様に引き倒されたという。
警察は、その際スタンガンを使って1人の男性を逮捕。しかし抗議活動はおおむね平和的に行われていたそうだ。
The Queen Victoria statue that stood in Winnipeg for more than a century was toppled yesterday; its head was removed overnight. I'll launch my Vic Studies course this fall with the long overdue removal of this statue from stolen land. But… pic.twitter.com/vfnubEiQBg
— Vanessa Warne (@vicsampler) July 2, 2021
The Queen Victoria statue at the Manitoba legislature missing its head this morning pic.twitter.com/OWmEDuEERk
— Kelly Geraldine Malone (@KellyGerMalone) July 2, 2021
先住民の寄宿舎から子供の遺体を発見
実は先々月、カナダ西部のブリティッシュ・コロンビア州では、先住民の寄宿舎学校の跡地から、215人分の子供とみられる遺体が発見された。
また6月24日には、サスカチワン州のカウエセスにある寄宿舎学校の跡地からも、墓標のない751人の墓が発見されたという。(どのくらいの数が子供のものかは不明)
カナダでは1831年から1996年まで、差別と連邦政府によるキリスト教化政策が進められ、15万人以上の先住民の子供たちが親から引き離され、強制的に寄宿舎へ入れられたそうだ。
その寄宿舎はカトリック教会が運営していたが、粗末な建物で、暖房設備も十分ではなく、不衛生なため、約6000人の先住民の生徒たちが死亡したと言われている。
Demonstrators toppled statues of Queen Victoria and Queen Elizabeth in Winnipeg this afternoon during rallies honouring the children discovered in unmarked graves on the sites of former residential schools over the past month. pic.twitter.com/Zx0aqPGcOW
— APTN News (@APTNNews) July 2, 2021
数千人がデモに参加
そして今回、先住民の子供たちのお墓が見つかったことで、多くの自治体が7月1日の建国記念日(自治領となった日)の祝賀式典を中止にしたという。
またこれまでも、寄宿舎の政策に関わった人物の銅像なども引き倒され、または撤去されたりしてきたそうだ。
そして今回、Winnipegでは、寄宿舎で亡くなった子供たちの死を悼み、また先住民のコミュニティを支援するために、数千人の市民がデモ行進を行った。
やがて抗議デモに参加した人々は、議会前に到着。そこに建てられていたビクトリア女王らの銅像を、引き倒した。また女王の像には赤いペンキが塗られ、近くには「私たちは子供だった」と書かれた看板が置かれたそうだ。
カナダは1763年にイギリス領(植民地)となり、1867年に自治が認められ英連邦自治領に。1931年に事実上の独立を果たす。
イギリスのビクトリア女王(在位1837年~1901年)は、カナダ連邦の設立時に王位についており、彼女の治世の下で、カナダの先住民共同体「ファーストネーション」との条約交渉や、先住民の教育政策が実施されたと言われている。(了)
出典元:BBC:Statues of Queen Victoria and Queen Elizabeth II torn down in Canada(7/2)
出典元:REUTERS:カナダで約750の墓標のない墓発見、先住民寄宿学校の跡地(6/25)